PJ: 田中 大也
「コンピューター監視法案」閣議決定される
2011年03月18日 14:23 JST
【PJニュース 2011年3月18日】■ 「コンピューターウィルス」に関連する刑法の改正案が閣議決定される
法務省から民主党の法務部会に提出されたと伝えられていた、コンピューターウィルス等々に関する刑法の改正案が、閣議決定されたと報じられた。
これによって、「ウィルス作成罪」、「コンピューター監視法案」などと呼ばれ、各方面からの批判の対象となってきたこの法律は、議員レベルの立法ではなく、内閣の総意として国会に提出され、可決に向けて推し進められることになったものと考えられる。
■問題点は払しょくされず、「ウィルス」の取得・保管で懲役刑も
しかし、内閣が推し進める優先度の高い法案として定義付けられたものの、新聞各紙が報じた法案の具体的内容を見る限り、多くのところで指摘されてきた問題点は、まるで解消されていないというのが実情のようだ。
「ウィルス」を、作成・保管した場合のみならず、「取得」、「保管」した場合も、最高で二年以下の懲役という重い罰則が科せられることになるとされている。そもそも「ウィルス」が単なるプログラムであり、「感染」するということは、そのプログラムを「取得」、「保管」することであるだけに、ウィルスに感染した被害者が、法的処罰の対象にもなりかねないという、危険な条文構成となっている。
また、通信履歴の最大六十日の保存を当局がプロバイダー会社側に要請できる「コンピューター監視法案」的な要素も、不特定多数に「わいせつ」な画像メールを送ることを禁じるというような、およそコンピューターウィルスとは関わりのない部分まで盛り込まれたと報じられている。
仮に一連の報道の通りの法案が正式に、国会に提出されたとすれば、実に危険な状態に、コンピューターを使うほとんどのユーザーが晒されることにもなりかねない。
■「違法状態にならない」ようにするのは個人献金の管理よりもはるかに困難
誰でも「違法」となり得るだけに、この罰則規定が、日本の政局を一変させてしまう危険性すら少なくない。具体的に言うならば、現内閣が大打撃を受けることになった「献金問題」よりも、さらに順守し辛い法律になっている。
小額の個人献金者の国籍まで、逐一チェックし、「違法な献金」を受け取らないようにすることは確かに困難だが、献金自体を受け取らないことで、どうにか「犯罪」をせずに済むかも知れない。
しかし、「ウィルス」は、現金のように、定義のしっかり固まったものではなく、受け取る気が無くても勝手に押し付けられ、しかも押し付けられたことにもなかなか気付けないものだ。
違法行為を回避する難しさは、献金における「国籍問題」の比ではなく、市民は言うに及ばず、全ての政党、政治家、政党関係者にとって、非常に高いリスクとして機能し得る法律、とも言えるもので、場合によっては、パソコン内に存在するプログラムの「取得」が「意図的」か否かで、国会が紛糾し、内閣や政権が交代していくという酷い状況に直面することになってしまうかも知れないのだ。【了】
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