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【スポーツ】

日大三・鈴木が逆転二塁打 前歯2本抜けても打った!

2011年3月26日 紙面から

8回裏日大三1死一、二塁、鈴木が左中間への逆転2点二塁打を放つ

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◇センバツ高校野球<第3日>

 日大三(東京)光星学院(青森)静清(静岡)が勝って2回戦に進んだ。昨年準優勝の日大三は明徳義塾(高知)に逆転勝ち。試合中のアクシデントで前歯2本が抜ける大けがをした鈴木貴弘捕手(3年)が逆転打を放ち、チームを勢いに乗せた。光星学院は水城(茨城)に5安打完封勝ち。東日本大震災の被災地から出場したチーム同士の試合に大勝した。光星学院は春初勝利で、青森勢では24年ぶりの白星。初出場の静清は京都成章(京都)に快勝した。

 苦しい試合を勝ちきり、エース吉永の元へ駆け寄った鈴木の口の中は、鮮血で真っ赤だった。試合中、顔面に送球を受けて前歯が2本抜けたにもかかわらず、不調のエースを最後までリードし、8回には逆転の2点二塁打を放った。試合終了後のヒーローインタビューには出ず、病院に直行。右前歯2本が根元から抜け、上唇は4針縫い、下唇は打撲という大けがだった。

 「地面に歯が抜けて(落ちて)いるのを見たときは驚いたけど、交代する気はまったくなかった。絶対負けられない気持ちで打席に入り、けがの痛みも感じなかった。打った瞬間、(打球が)抜けると思った。吉永が苦しんでいたのでうれしかった」と、大会事務局を通じてコメントを寄せた。

 今大会屈指の注目右腕・吉永は「無駄な力が入って」制球が定まらず、「初めて」7四死球を出す絶不調。先制しながらも逆転を許し、7回裏にやっと追いついた直後の8回に事件は起きた。

 失策、暴投、野選で無死一、三塁の大ピンチを招いたが、次打者を二ゴロ、本塁封殺…のはずだった。ところが、ワンバウンド送球が鈴木の口を直撃。その間に貴重な勝ち越し点を許した。ホームベース付近に血がポタポタと垂れ、白い歯が転がっていた。すぐに救護室で治療を受けたが、タオルは真っ赤に染まり、最後まで血は止まらなかったという。それでも「大丈夫、行けます」と志願。小倉全由監督(53)は「よしっ、甲子園だから行け!」と背中を押した。

 心配そうな吉永に「大丈夫だから思い切り投げてこい」と声をかけ、その裏1死一、二塁の打席では殊勲打。秋の打撃成績はチーム最下位(打率・148)だった9番打者が、大仕事をやってのけた。

 チームメートの誰もが“いじられキャラ”と口をそろえる人気者。だが、肩や胸にいくつも青あざをつくりながらショートバウンド捕球の練習を続けるなど、練習熱心さは誰もが認める。吉永は「鈴木が体で止めにいってくれたから1点ですんだし、必死さが伝わった。鈴木のためにも勝てて良かった。次は自分がしっかりしたい」と発奮した。 (竹村和佳子)

 

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