計画停電避け富士川越え 飲食店やコンビニへ(3/25 14:29)

 日が暮れ、明るく照らされた商業施設に向けて渋滞をつくる「富士山」と「沼津」ナンバーの乗用車―。東京電力の計画停電が始まる夜になると、明かりを求める人たちが富士川を渡り、中部電力管内で停電のない富士市の旧富士川町地域に集まっている。飲食店やコンビニ店、パチンコ店などではふだんより来客が増え、関係者は対応に追われている。
 富士市で午後6時50分〜9時ごろが停電した23日。富士川以西の同市岩淵の道の駅「富士川楽座」では、午後6時半ごろから3階レストランや4階展望ラウンジが混み始め、同8時ごろには約180台の駐車場が満車となった。レストランはピーク時には約180席がほぼ満席となった。停電に合わせて娘と孫と3人で訪れた富士宮市のパート女性(62)は「明るいので安心できるし、おいしいご飯も食べられる」とほっとした様子。
 本や学習帳を片手に富士川を渡る人も。休憩スペースのある同館4階展望ラウンジに、小学3年生の娘と来た富士市松岡の主婦(39)は「停電になると落ち着かないし何もできない」と娘が宿題に取り組むのを見守る。
 同館の伊藤寿朗統括課長は予想外の人出に「レストラン食材の一部が切れてしまうほどだった」と驚く一方、「安心して過ごしてもらう環境を提供したい」と話す。
 周辺のコンビニ店でも弁当やおにぎり、サンドイッチのコーナーの商品が完売し、駐車場の車内で食事をする人の姿も見られた。男性副店長は「普段は見ない客が3〜4割いたので、富士市などから来てくれたのでは」と分析する。
 パチンコ店などにも多くの客が詰め掛けた。富士市の50代の男性会社員は「夜間の停電中はやることがないので足を延ばしたらかなり混んでいた。みんな同じことを考えていたのでは」と話す。
 富士地域は、今後も週1回は夜間の停電が見込まれるため、明かりを求めて富士川を渡る人たちの動きは続きそうだ。

計画停電の影響か、ほぼ満席となりにぎわうレストラン=23日夜、富士市岩淵の富士川楽座

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