2011年3月26日3時0分
東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)3号機のタービン建屋内で起きた作業員の被曝(ひばく)で、経済産業省原子力安全・保安院は25日、原子炉の燃料が破損して放射性物質が漏れ出た可能性が高いとの見方を示した。1、2号機でも同じように放射線量の高い水がたまっているのが見つかった。東電は地下のケーブル敷設作業を中止した。電源復旧作業がさらに遅れる可能性が出てきた。
東電や保安院によると、被曝した3人の作業員は、3号機のタービン建屋でケーブルを敷設している最中に、足元にあった水につかったとみられる。水からは通常の原子炉内の冷却水より約1万倍強い放射能が検出された。
保安院はこの水が、使用済み核燃料の貯蔵プールより、原子炉内から漏れ出した可能性の方が高いとみている。水にはセシウム137など燃料の破損を疑わせる放射性物質が含まれていた。
炉内は周囲より高圧を保っていることから、原子炉圧力容器に亀裂などの大きな損傷があるわけではなく、壊れた配管などから蒸気や水が出て流れ着いたのではないかという。原子炉のある建屋はタービン建屋の隣にある。作業員らがいた地下1階は直接通じていないものの、1階は扉を通じて行き来できる。
水たまりは1、2号機でも見つかった。1号機のタービン建屋地下の水たまりで24日採取した水からは、3号機とほぼ同じレベルにあたる1立方センチ当たり380万ベクレル(放射能の単位)の放射能を検出した。
東電は25日、原子炉を冷やすための消防ポンプによる注水作業について、1号機と3号機を海水から真水に切り替えた。塩分によって炉の周りにある配管や機器が傷んだり、詰まったりするのを防ぐためだ。2号機についても準備が整い次第切り替えるという。