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東日本大震災:福島第1原発事故 もんじゅ、非常時の検証を--文科省に県 /福井

 ◇電源喪失対策も

 東日本大震災により福島第1原発で重大事故が相次いでいることを受け、県は23日、高速増殖原型炉「もんじゅ」を管轄する文部科学省に対して、地震や津波対策の課題を検証するよう申し入れた。

 旭信昭副知事が同省を訪れ、清水潔事務次官に要請書を手渡した。旭副知事は、全電源が失われるなど重大な事態が発生した場合、ナトリウムを冷却に使う高速増殖炉特有の機器が対応できるかなどを検証することを求めた。また福島原発では、電源喪失で原発周辺の放射能が調査できなかったことを踏まえ、非常用電源の設置などの対策を要望した。

 県によると、清水事務次官は「安全システムを多重化するなど福井県の要請事項は示唆に富んでおり、しっかり対応する必要がある」と応じたという。【安藤大介】

 ■文科省への要請要旨

 ◆専門委、早急に設置を

 ◇「もんじゅ」の安全確保について

 (1)全電源喪失などのシビアアクシデント発生時における冷却材の態様、炉心・配管・機器などへの影響や、これを解決する応急・復旧対策などについて、早急に専門家による委員会を設置し、調査・検証と対応策の検討を行うこと

 (2)炉内中継装置の復旧については、外部専門家による検討委員会を中心に、工程管理や安全管理などを徹底し、機構の全組織を挙げて体制を強化し早期復旧を図ること

 (3)大規模な地震や津波の際にも安全性が確実に保たれるよう、電源の確保や海水の取水、冷却システムなどについて、一層の多重化と耐震安全性の強化を図ること。特に、送電鉄塔の耐震補強や送電系統の多重化、原子炉補助建屋内に設置されている空冷機器の耐震補強、非常用の可搬式・空冷式発電機の設置、防護壁のかさ上げや海水ポンプの内陸への移設など地震・津波対策の更なる向上について、早急に必要な対策を講じること

 (4)万一緊急事態が発生した際にも周辺環境に影響を及ぼす事態が生じないよう、プラント管理の支援要員体制、消防車などの緊急車両の配備体制など、人的・物的両面から国と各電力事業者が一体となって機構を支援する体制を整備すること

 ◇文科省が所管する環境放射能調査体制の強化について

 (1)今回の原子力災害においては、発電所周辺の環境放射能測定機器が地震等に伴う外部電源の喪失で機能しなかったことを踏まえ、測定機器の耐震安全性の強化や非常用電源の確保等について抜本対策を講じること

 (2)福島第1原発周辺では、設定想定を超えた範囲(10キロ超)で避難措置がとられ、環境放射能の影響をより広範囲で把握する必要が生じていることを踏まえ、調査範囲の拡大について明確な方針を示すこと

 ◇日本海側における地震・津波の発生解明について

 政府の地震調査研究推進本部(文科省所管)において、今回の地震・津波の構造を解明するとともに、改めて日本海側についてプレート境界型地震が発生する可能性や影響範囲などを明らかにすること

毎日新聞 2011年3月24日 地方版

 
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