2006年06月16日掲載記事より
JR筑肥線 九大学研都市駅 (福岡市西区)
「大学」とともに“成長過程”
道路は開通したが未整備な土地が多く、人影がまばらな駅(左)とその周辺
地上10メートルの駅ホームから、ぐるっと周りを見渡す。南側には、舗装されていない自動車300台分の駅駐車場。4月末オープンしたばかりの大型ショッピングセンターは手が届きそうな位置にある。
北側は茶色の地肌がむき出しになった地面を、真新しいアスファルトの道路が縦横に分断。ショベルカーやトラックなど重機のうなり声が聞こえる。
何もかもが真新しく、“成長過程”にある九大学研都市駅。その名の通り、2005年10月1日の九州大学伊都キャンパス(福岡市西区など)開校に伴い設置された駅だ。以前は田畑が広がっていたという駅周辺だが、現在は急ピッチで整備が進んでいる。
「この駅は発展するばかり。いずれ都会の一部に組み込まれるでしょう」とは、和田正雄駅長(63)。福岡県などが描く伊都キャンパスを核とした「学術研究都市構想」の拠点駅と位置付けられており、周辺には行政機関やマンションなどが立ち並ぶ計画という。
さて、肝心の伊都キャンパスはというと、「目の前にあると思っている乗客も多い」(和田駅長)というが実際は駅から北西に約4キロ。その間を結ぶ昭和バスに乗り込み、いざ九大へ。
15分の道のり。その半分を過ぎたころ、商店や住宅で埋まっていた道路の両脇が、一面の田園風景に変わる。大学施設はその中にあった。現在は工学系の一部開校にとどまり、すべての移転は19年度までに終える予定だ。
駅と九大。両者を囲む町の景色は目まぐるしく変化している。移転が完了するころには、「都会」の様相を呈しているのだろうか。
(福岡西支局・四宮淳平)