国際放射線防護委員会(ICRP)は、東京電力福島第1原発事故で放射性物質の漏えいが続いていることについて、日本の現在の被ばく線量限度(一般人で年1ミリシーベルト)を引き上げる検討を求める勧告を出したことが判明した。
勧告は21日に出された。それによると、今回の事態を受け、緊急的に一般人の年間被ばく限度を100~20ミリシーベルトの範囲に引き上げることを求めた。また「原発事故が収束したとしても、原発周辺地域に汚染が残る」と分析。地域住民がふるさとを捨てず、住み続けることができるよう、線量限度を20~1ミリシーベルトの範囲で設定し、長期的に1ミリシーベルトを目標とすることを提案した。いずれも現在の限度を大幅に上回る数値だが、「緊急事態と汚染が広がっている地域の将来を考えるうえでの一助にしてほしい」と求めている。ICRPは従来、自然被ばくや医療上の被ばくを除いて職業上の被ばくの限度は5年間で100ミリシーベルト、年50ミリシーベルトとし、一般人は年1ミリシーベルトとすることを勧告している。【永山悦子】
毎日新聞 2011年3月25日 21時32分