第11報
水道水の放射能の測定結果について
平成23年3月17日
水道局
東京都水道局で測定した水道水の放射能の測定結果をお知らせします。
当局では、これまでも放射能の測定を毎年実施してきましたが、福島第一原子力発電所において放射性物質漏洩事故が発生したことから、臨時に測定を行いました。その結果、当局がお客さまにお届けする水道水の放射能の測定値は、これまで測定してきたレベルと同程度であり、問題はありません。
なお、今後も継続して測定を行い、結果をホームページでお知らせします。
測定結果の概要
測定結果はいずれも、人が一生涯にわたって水道水を飲み続けても健康影響が生じないレベルを示しているWHO飲料水水質ガイドライン(第3版)の値注1を下回っています(解説を参照)。
1 採水日
3月15日(火曜)及び16日(水曜)
2 採水場所と試料
金町浄水場(利根川・江戸川水系)、朝霞浄水場(利根川・荒川水系)及び小作浄水場(多摩川水系)における浄水処理後の水道水
3 測定結果
浄水場名 | 採水日 | 全α放射能(Bq/リットル) | 全β放射能(Bq/リットル) |
---|---|---|---|
金町浄水場 | 3月15日 | 0.0 | 0.4 注2 |
3月16日 | 0.0 | 0.0 | |
朝霞浄水場 | 3月15日 | 0.0 | 0.3 |
3月16日 | 0.0 | 0.0 | |
小作浄水場 | 3月15日 | 0.0 | 0.0 |
3月16日 | 0.0 | 0.0 |
(注1) WHO飲料水水質ガイドラインの値は、全α放射能では0.5Bq/リットル、全β放射能では1Bq/リットルです。
(注2) 金町浄水場における過去20年間の測定値は、0.0〜0.5Bq/リットルです。
(注) Bq(ベクレル)/リットルとは、水1リットル中の放射性物質が放射線を出す能力を表す単位です。
問い合わせ先 水道局お客さまセンター (23区内) 電話 03−5326−1101 (多摩地区26市町) 電話 0570−091−100[ナビダイヤル] ※ナビダイヤルを御利用できない場合 ※042−548−5110 |
〔参考〕
解説
わが国では、放射能に関する水道水質基準等は定められていません。
ただし、放射性物質漏洩事故等が発生した場合、緊急時モニタリングが実施されるエリア(今回の場合は福島県)については、関係地方公共団体の原子力防災担当部局が中心となって緊急時モニタリングが実施されます。原子力安全委員会により示された指標値を超える飲食物が見つかった場合は、政府の原子力災害対策本部が摂取制限の実施等を検討する仕組みになっています。
一方、当局が放射能に関して水道水の安全性の評価の根拠としているWHO飲料水水質ガイドラインは、世界保健機関(WHO)が定めたもので、一生涯にわたって水道水を飲み続けても健康影響が生じないレベルを示しており、各国の水質基準等の参考にされています。
本ガイドラインは、福島県のような緊急時には適用されるものではなく、当局の水道施設など、平常時として浄水処理を実施している日常の運転条件に適用するものとされています。
ガイドラインでは、まず、全放射能(全α及び全β放射能)を繰り返して測定し、その値が、全α放射能では0.5Bq/リットル、全β放射能では1Bq/リットルを超える場合に限って、個々の放射性核種について分析を行うべきであるとされています(下図参照)。
図 WHO飲料水水質ガイドラインにおける放射能測定の手順
用語解説
ベクレル(Bq)
「ベクレル」とは、放射性物質が放射線を出す能力を表す単位である。
放射線は、不安定な放射性物質が壊れることによって放出されるが、「ベクレル」は、1秒間に放射性物質が壊れる数(崩壊数)を表す。
例えば、1秒間に1回、放射性物質が壊れる場合は「1ベクレルの放射能がある」という。
水中の放射能は、水1リットル中の放射性物質が放射線を出す能力(Bq/リットル)で表わされる。
シーベルト(Sv)
「シーベルト」とは、放射線によって人体に与えられたエネルギー量を表す単位である。
放射線によって、物質1キログラムにつき1J(ジュール)のエネルギーを与える量を1Gy(グレイ)と表す。
人体への影響は、放射線の種類や受けた箇所によって異なるため、「シーベルト」は、この量(Gy値)に種類・箇所ごとに定められた係数を乗じて求める。
全α放射能及び全β放射能
放射線には、α(アルファ)線、β(ベータ)線などがある。
放射性物質による汚染のレベルを捉えるには、放射性核種の個別測定ではなく、まず、総量としての放射能を測定する。
この総量としての放射能を、α線では「全α放射能」、β線では「全β放射能」という。
放射性核種
放射性核種とは、陽子と中性子の数により決定される原子核の種類、例えば、ヨウ素-131、セシウム-134、セシウム-137などをいう。