原子力発電所については、国の指針等※に基づき、敷地周辺の活断層の状況や過去に発生した地震などを総合的に検討し、考えうる最大の地震にも耐えうるよう設計しています。
さらに、原子炉の安全確保のために、運転中に大きな揺れを感じた場合には、原子炉を自動停止するようにしています。
国の指針:
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「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」
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原子力発電所の寿命を法令などで定めたものは無く、国及び事業者が実施する定期検査において設備の健全性を確認し、次の定期検査まで運転が認められる仕組みになっています。
原子力発電所は、運転開始後30年を経過するまでに、高経年化対策として、長期間の運転を仮定して機器などの高経年化に関する技術的な評価を実施し、それ以降10年間に実施する具体的な保全計画をつくり、保守・点検を実施していきます。
さらに以降、10年を越えない期間ごとに再評価を行い、長期間の運転が可能かどうか確認していきます。
原子力発電所の運転員は、まずは発電所内の巡視員からはじまり、タービン・電気運転員、原子炉運転員等の経験を積み重ね、約10年かけて一人前の運転員になります。また、技術レベルの維持・向上を図るため、定期的に教育・訓練を社内・社外でおこなっています。
また、運転員の責任者である当直課長は、国が定める基準に合格しており、定期的に第三者機関による厳しい試験や訓練で、知識・技能が維持されていることが確認されています。
なお、発電所構内には、発電所の運転を行なう中央制御室をそのまま模擬した運転シミュレータや、機器や電気設備などの訓練設備を備えた「原子力訓練センター」があり、運転員は運転シミュレータを使って事故時の対応などの運転訓練を行い、また、保修員は機器の点検・組立や動作試験等の訓練を行なうことによって、技術向上を図っています。
1986年4月、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で、原子炉が壊れ大量の放射性物質が外に出るという事故が発生しました。
この事故は、
など、安全設計上の問題や運転員の規則違反などが重なったことにより起きた事故です。
日本の原子力発電所では、「自己制御性」を有しており、様々な制御システムや原子炉格納容器の設置など、安全設計上、万全の対策が取られており、また、運転員は十分な教育訓練を受けるとともに、厳重な運転管理体制のもと発電所の運転をおこなっています。チェルノブイリと同じような事故が起きることは、日本では考えられません。
原子力発電所からは、微量の放射性物質が出ています。これらは、放射能濃度を厳しくチェックし、安全であることを確認したうえで、大気や海へ放出されており、それによって周辺住民が受ける放射線の量は、国が定めた目標値である年間0.05ミリシーベルトより低い0.001ミリシーベルト未満となっています。
この値は、私たちが大地や宇宙、食べ物などの自然界から受ける放射線の量(年間約2.4ミリシーベルト)よりはるかに少なく、身体への影響はありません。
※シーベルト:
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人が放射線を受けたときの影響の程度を表す単位
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なお、原子力発電所から放出された放射性物質による周辺環境の影響を監視するため、敷地周辺では大気中の放射線の量を24時間連続監視し、ホームページでリアルタイムに情報を公開しています。
さらに、敷地周辺の土、河川水、海水、農作物、畜産物、魚介類などを定期的に採取して、その中に含まれる放射能濃度を測定し、影響がないかどうかを確認しており、現在までに、原子力発電所の運転による環境への影響は認められていません。
原子力発電所は、放射性物質を閉じ込める構造としたうえで、「多重防護」の考え方を安全確保の基本としています。
「多重防護」とは、第1の安全対策に加え、第2、第3の安全対策を講じておくなど、何段階もの対策をたてておくことをいいます。
「機械は故障し、人はミスを犯すもの」ということを念頭において、
など何重もの安全対策が採用されています。
原子力発電所は、放射性物質をしっかり閉じ込める構造となっており、周辺住民の方々に被害を及ぼすことのないよう、万全の安全対策がとられています。
万一、原子力災害に至るおそれのある異常事象が発生した場合には、当社は直ちに緊急時体制を発令、国、自治体等の関係機関に対して15分以内を目途に通報を行ないます。
法令に定める原子力災害が発生した場合は、国、自治体、事業者等の関係者はオフサイトセンターにおいて、情報の共有化や相互協力を行い、周辺住民の避難などの必要な対策を的確に行ないます。
万一、原子力発電所で事故が発生して、放射性物質が放出されるような事態になった場合には、発電所からの通報を受け、国、県は防災体制をとり、風向等から推定した線量に応じて、屋内退避、避難等の検討が行なわれます。
風向・風速等の気象条件や地形等により、影響の範囲は異なりますが、国の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムにより、放射性物質の拡散状況を予測し、住民の避難等の指示が出されます。
住民の避難方法としては、「屋内退避」「コンクリート屋内退避」「退避」の3種類がありますが、住民への予測被ばく線量に応じて、自治体より防災行政無線や公共放送等を使って指示が出されますので、具体的な避難方法等については、この指示に従ってください。
当社は、国、自治体に協力し住民の皆さまの安全を確保するとともに、事故の収束や情報発信に努めます。