大震災から25日で2週間、冷却機能が失われ深刻な事態に陥っている福島第一原子力発電所は、事態の収束に向けて出口の見えない状態が続いています。放射性物質の漏えいが止まらないなか、24日夜、3号機で見つかった高濃度の放射性物質を含む水について、経済産業省の原子力安全・保安院は、原子炉の中の核燃料が壊れ、何らかの形で放射性物質が漏れ出した可能性が高いという見方を示しました。原子力の安全の基本である放射性物質を外に漏らさないための閉じ込め機能が十分に働かないなか、事態の進展を食い止めるための対応が急がれています。
深刻な事態に陥っている福島第一原発では、失われた冷却機能を回復させるための外部電源の復旧作業が進められています。このうち、3号機のタービンが入った建物の中で、24日、電源ケーブルを敷く作業をしていた3人の作業員が被ばくし、現場の水からは1cc当たり390万ベクレルと、運転している原子炉の中の水のおよそ1万倍に当たる高い濃度の放射性物質が検出されました。これについて、経済産業省の原子力安全・保安院は、現場の水に含まれている放射性物質を調べた結果、使用済み燃料プールよりも原子炉の中の核燃料が壊れて漏れ出た可能性が高いとしています。また、漏れ出た経路については、原子炉の圧力が、ある程度保たれているため、現時点で、原子炉にひびが入ったり、割れたりしているとは考えていないとしたうえで、配管や弁など何らかの形で原子炉から放射性物質が漏れ出ている可能性が高いという見方を示しました。東京電力の武藤栄副社長は、25日午後5時すぎの記者会見で、前の日の現場の放射線量が低かったことから、床に新たにたまった水が線量を上げた可能性があるとしたうえで、「原子炉の温度や圧力が上がったことがあったため、弁やポンプなどのつなぎ目から水が漏れてくる可能性も考えられるが、それ以外もあり、今は分からない」と話しました。また、原子力安全・保安院は、同じように海水を使った冷却作業が続けられている1、2号機についても、高い放射線の数値が計測されていることから、原子炉自体から放射性物質が漏れ出している可能性があるとしています。こうした現場の高い放射線量によって、3号機のタービン建屋での作業が中断されているほか、1号機や2号機でも慎重な確認作業が必要になっていて、外部電源の復旧作業が遅れる原因となっています。大震災から2週間、事態の収束がいつになるか見えない状況が続いています。原子力の安全の基本である放射性物質を外に漏らさないための閉じ込め機能が十分に働かないなか、事態の進展を食い止めるための対応が急がれています。