2009年12月02日

市民税減税を徹底議論

P100039512月2日(水)財政福祉委員会が開催され、河村市長が公約に掲げた市民税減税について議論が展開された。

河村市長は、常々「市民の皆さん、来年4月には、ひとり15,000円減税されるでよ。待っとってちょーよ。」と市民に訴える。しかし、一元代表制であれば、マニフェストは長の判断で実行可能だが、地方議会は憲法により二元代表制。議会も少数意見の代表者として、議会へ出ている以上、首長の判断がそのまま決定ではない。このことが、地方議会と国会を混乱して理解している河村市長にはわからないのかもしれない。

さて、本日の議会では、財政局長から、「減税のプロジェクトとあわせて、行革のプロジェクトをやっている。行革の取り組みで、環境科学研究所の廃止とか・・・市の無駄をなくする。」と答弁があった。

財政局長自ら、環境科学研究所は無駄であり、市民税減税の財源とされたことを認めた。しかし、以前、このブログで紹介したとおり、環境科学研究所(名古屋市南区)は、PM2.5(微小粒子状物質)の先駆的研究施設。環境基準ができる前の平成12年からPM2.5の研究を続けている。なお、PM2.5は、ぜんそくや肺がんの原因と言われている。

その環境科学研究所付近や南区浜田町付近は、PM2.5(
微小粒子状物質)が環境基準を大幅に越え、大阪市と並び全国でも最悪の汚染状態だ。このため、付近では、ぜんそく患者がいまだに多い。しかし、減税財源のために廃止を決めたとの答弁どおりなら、まさに減税と命を引き換えにしたと言わざるを得ない。

のちに、財政局長は、「環境科学研究所は無駄とは言っていない。」と答弁を訂正したものの、必要なのに減税財源として廃止をしたということになってしまいさらに自己矛盾に陥る結果となってしまった。

また、他の議員からも「児童養護施設の予算が削られると聞いた。(民主党:うえぞの議員)」「3人目の保育料の値上げが行われると通知があった。(自民党:渡辺義郎議員)」「学校の補修費に影響が出ると聞いた。(公明党:林議員)」など、福祉や教育、健康が削られる具体的な事例が次々明らかになったため、私から平成22年度予算における削減一覧が記載された「サマーレビュー」をあらためて要求した。しかし、当局は、提出を拒否。隠ぺいだ。これでは、議論ができない。

私たち議員は、市民の福祉や医療、健康、教育、子育てなどの危急の課題が削られる多くの事象を目の当たりにしながら、「はい、どうぞ。」といって、当局の案をすべて認めるわけにはいかない。また、予算が削減される多くの市民や団体から、庶民に減税の恩恵がないばかりか、結果的に減税が市民生活に悪影響を及ぼす可能性があるとの指摘もいただいている。

また、今日の議会では、「金持ちゼロ」についても質疑が行われた。「金持ちゼロといいながら、高額所得者の中には2,150万円減税される人がいる。」と指摘されると、当局からは、「所得の高い方は、減税分寄付をしていただいて、ゼロ。」との答弁があった。しかし、「金持ちは寄付して減税ゼロ」、「所得の低い人の減税もほとんどゼロ」とすると、いったい誰が減税の恩恵を受け、生活支援や経済の活性化につながるのかとの指摘も私からさせていただいた。

さらに、国の税収見通しが46兆円から37〜8兆円に大幅減額されるという見通しが政府から発表されたり、円高やデフレ、株安などの影響により、さらなる税収の減額につながるのではないか、また、扶助費の増大が財政を圧迫するのではないかと指摘させていただいた。当局は、懸念を認めたものの、来年度の税収見通しの速報資料も提出を拒否。河村市政はマニフェストでは、予算編成過程の透明を公約に掲げているものの、都合の悪い資料を出さず、行政の透明感がかなり低下している。

市債についても、今年度初めの見通しより、130億円発行額を増やした(合計で1,050億円)との答弁があるなど、減税が将来世代への負担の先送りになっているとの懸念も残る。130億円の市債を発行すると利息を付けて返済額は182億円になることを市民の皆さんはご存じだろうか。減税による借金を払うのは、みなさんの子ども達だ。

いずれにしても、この減税に係る当局の説明は全く不十分で、自己矛盾に満ちている。減税案の総括質疑は、あさって4日。各党は減税そのものに反対しているわけではなく、市民の不安の解消をいかに図るか、また、「恒久減税」ならぬ「高級減税」と揶揄される提案にどのように対応するかが焦点になる。

環境科学研究所PM2.5に関するブログ記事
http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/1128469.html


minami758 at 17:44│Comments(7)TrackBack(0)この記事をクリップ!

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 今井   2009年12月02日 18:52
5
財政局長自ら、環境科学研究所は無駄
この発言は来年、COP10を開催する名古屋市の見解としては、とても信じられない事だと思います。環境保全=生物多様性 ではないでしょうか? また「所得の高い方は?減税分寄付をしていただいて、ゼロ。」との答弁があった!
なにを甘ったるい、ぬるま湯的 考えを披露しているんでしょうか? 鳩ちゃんでも、寄付していないのに「空言」をのたまうのもいい加減にして頂きたい。
もし私が「金持ち」でも、絶対 寄付などしない。
公務員の甘ったるい理論は、聞く耳を疑うほどだ!
少しは民間の厳しさをしれ
2. Posted by 市民   2009年12月02日 19:36
中京TVで横井先生が画像で出ていました。減税反対と見られかねない録音と画像です。マスコミは完全に市長の立場を
を擁護しています。水道料金の値下げ小口の利用者ほど値下げ率を手厚くする。来年10月からの事を今日発表するなど
いかにも河村流。そのうち減税は議員削減と報酬半減を含めた行政改革で行うと言う予算案を出されかねません。委員会の映像を拒否するなどマスコミを敵に回してはマスコミの兆児といわれる市長に勝てますか、まだ遅くはありません。給与カットがダメなら、人員カットを表明して、ハンディなしで闘って下さい。市長は給与カット退職金なし、市職員は給与カットに人員削減、市議会何も無しと問われます。
3. Posted by 横井利明   2009年12月02日 22:26
5 水道料金の値下げは、自民党の藤田議員が松原市長時代に提案し、松原市政において値下げを表明し、路線が敷かれていたもの。あたかも河村市長が自分でやったように報道していますが、これは間違いです。
また、減税そのものには反対ではありませんが、市民の皆さんの所得格差を広げるだけの手法であることは間違いありませんし、今日の委員会でも必要なもののカットが明らかになっています。今日の夜も2会場で、減税についてお話しましたが、市民は完全に減税を誤解しており、所得が10%増えると思っています。「私の年収は250万円だが、いくら減税だ。10%で25万円ぐらいか。」と聞かれましたが、「いえ、月に25円ぐらいです。」と答えたら、驚いていました。
ところで、議会は何もしていないと言うことですが、議員は、もともと退職金はありません。また、今年の3月に給料を10%削減しておりますが、これは2回目の削減です。議員年金も月々10万円(正確には99,000円)おさめていますが、議長会での話し合いにより、掛け金の50%を返済して、つまり月々の掛け金の半分だけ返して、議員年金は解散という案が出ています。これもひとつの改革です。したがって、議員年金もなくなり、私達、地方議員は国民年金だけということになります。
地方議員には公設秘書はつかないため、自分で雇わなければなりませんし、その他の出費のかさみます。待遇だけを考えたら、今でも、議員をやろうという人はもうほとんどいないと思います。あとできるのは定員減ぐらいですが、少数意見をどう保障するのかの議論が必要です。河村に対抗しなければならないからという視点も必要ですが、それだけでは改革を誤ってしまいます。
4. Posted by ドラゴンズはすきだけど   2009年12月02日 23:11
 水道料金の値下げの実情がわかり大変驚きました。明らかに今日の各社の報道では河村さんが庶民を思いやって職員の給料を下げることで値下げを行ったというお涙頂戴もののお話に仕上がっていました。
 横井先生の書かれた議員年金の話こそ大きな問題ですし、武士道精神が貫かれていてすばらしいお話だと思います。ただ相手はたぐい稀なるアジテーター。これに対抗しないと武士道自体が破壊されてしまいます。今日の中日新聞にでていたような議員さんによる記者会見などを定期的行うことなどでマスコミを取り込むことも必要だと思います。
5. Posted by 息子がぜんそくです   2009年12月03日 06:28
5 必要なものまで廃止するということを平気で言えるなんて、財政局長が信じられません。
市民に対する責任はないのですか?
南区は汚染状態が悪いそうですが、財政局長は責任を取ってくれるのでしょうか。
うちの息子もぜんそくです。他の区は大丈夫なんでしょうか。自分さえ良ければいいというわけではないのですが、とても心配です。
6. Posted by 市民   2009年12月03日 07:45
大多数の市民は新聞(特に中日)とTVしか見ていません。
先生の議員年金の話など私でもはじめて知りました。今朝のTVでも議員側は何時も同じ事をいっとる。なんで公開しんのか。役人でなく市民に聞かんか。時代がかわっとる。などあまりいい印象を持てませんでした。市長は本会議の答弁でも質問者ではないのに横井さん横井さんと先生の名前を出していました。それだけ意識しているのです。当然先生も解っているはずです。市長がおかしい・間違っている・もっと議員を信頼せよ・やる事はやる・先生が先頭に立って市議会員
全員で市民に訴えてください。
何時も勝手な事ばっかりですいません。どうしても河村さん
は嫌いです間違っています。覚えています。彼がふふらしていた時に助けたのは1区の一部の市民 後悔をしているはずです。私自身は一度も彼に投票していません。頑張ってください。期待しています。頼るところはここだけです。
7. Posted by 横井利明   2009年12月05日 23:06
5 息子がぜんそくですさん、内部資料によると、環境科学研究所の廃止の提案から廃止決定まで、ほんの1週間程度しか擁してないことがわかりました。
当然、廃止を決定した河村市長は、現場へも言ったこともなく、付近のPM2.5の汚染状況も確認することもなく廃止を決めたとも思います。住民の健康や命をここまで軽く考えるとは、誠に許しがたいものがあります。
私の意見に、民主や公明も賛成していただいており、現在、市長への要請書を作成しております。
市民さん、応援ありがとうございます。一方、河村市長の巻き返しも大変です。屈することなく、市民目線でがんばりたいと思います。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字