菅直人首相(民主党代表)は19日、自民党の谷垣禎一総裁と電話で話し合い、副総理・震災復興担当相での入閣を要請し、大連立を打診した。谷垣氏は「あまりに唐突な提案だ」と首相の提案を拒否したうえで「閣外から全面協力する。今は体制をいじる時ではなく、災害復旧、原発対応などに全力を尽くすべきだ」と表明した。与党内にも首相の判断に不信感が出ており、首相は野党への新たな対応を迫られる。
谷垣氏に首相は「国家的危機に責任を分担してもらえないか」と呼びかけた。民主党と自民党は現在、17人の閣僚数を最大で20人まで増やせる内閣法改正で基本合意しており、法案が成立すれば最大野党のトップを閣内に迎え、超党派協力を内外に示す狙いだ。
首相は同日夜、公明党の山口那津男代表にも電話で協力を求めたが、入閣には触れなかった。山口氏は「震災対応に集中し、担当相も早く決めてほしい。党としても協力する」と述べた。
谷垣氏は首相の要請を即座に拒否するとともに、緊急役員会を招集して自らの方針に了承を得た。その後、谷垣氏は電話で首相に再度、入閣しない考えを伝えた。谷垣氏は公明党の山口氏に電話し、首相との協議内容を説明した。
自民党は東日本大震災と原発事故への対応には閣外から全面的に協力する方針だ。被災地の復旧・復興に必要な法案などには、政策協議で合意したうえで賛成する構えだ。
谷垣氏は緊急役員会後に記者会見し、政権との協力関係について「国家的危機だから可能性を全く否定するつもりはない。議論を通じてどういう信頼感、協力関係が醸成されるのか、されないのかだ」と指摘。情勢変化や民主党のマニフェスト(政権公約)修正の動きや、首相の進退も見極めたうえで、協力を強化することに含みを残した。
与野党は大震災後、政治休戦で合意した。ただ、復旧・復興を目的とする2011年度補正予算案の編成や、特別立法などの早期成立には参院で野党多数の「逆転国会」が壁となる。国民新党の亀井静香代表や民主党の輿石東参院議員会長は大連立による「救国内閣」構想を主張している。
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