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PJ: 今藤 泰資

大災害で露呈する人と組織の本性(下)
2011年03月24日 05:24 JST


ブルーシートにウメの花。ウメは咲いたがサクラはまだか。被災者の気持ちが癒えるのは、何時の日か。(撮影:今藤泰資) 

【PJニュース 2011年3月24日】際立っているのは、危機意識の欠如した政府だ。大災害に際し統一感など一向に感じられない。菅内閣の主要閣僚の服装を見れば一目瞭然だ。総理、官房長官は揃いの青い作業服。他の閣僚は背広や省庁の作業衣。常日ごろ道化風の北澤俊美防衛大臣は、青い作業着、背広、自衛隊の迷彩服と着せ替え人形だ。緊張感に欠けている。菅政権にユニホームがないのだ。「unit」がないのは民主党の本質か。

震災早々、現地視察を敢行するなど、パフォーマンス以外のなにものでもない。数多い被災者、人手の足りない警察官や消防署員、ようやくたどり着いた自衛隊員…彼らのジャマになると考えないのか。

もっとも愚かな政治家は民主党員だけではない。阪神淡路大震災の直後、都内新橋のうなぎ屋の一室で「いやね、あの騒ぎでしょ。神戸直接ではムリなんで、大阪から船を出させましてね」と得意顔で視察風景を語ったのは、自民党の現職議員。首相候補と噂されたこの男、その程度の見識しか持ち合わせていなかったのだ。

数を頼んだ東電と原子力保安院の記者会見に比し、地震発生以来ただ一人で会見に臨んだのは、気象庁の横山博文地震津波監視課長だ。予報不徹底を批判する声もあったが、連日疲労しきった表情は痛々しかった。その一方、お粗末なのはテレ朝系「報道ステーション」の古舘伊知郎。山梨県の笛吹市を「ふえふき?うすい?」と混乱し、静岡県函南町を「はこなみまち」と呼ぶ始末。ニュースキャスター以前に、アナウンサーとしての基本ができていない。

「天罰」発言の石原慎太郎都知事。「消防庁隊員への恫喝」発言の海江田万里経済産業相。「震災は天の恵み」発言の長田義明大阪府議会議長。「節電に協力しろということでしょ」と不快感を示した倣岸不遜の巨人滝鼻卓雄オーナー。これが彼らの本音である。声を出す度、明らかになる本性。わたしは60年来の巨人フアンをやめた。ヨミウリの購読も断った。お上の声ではない。庶民の意見なのである。

不利と知ってか、沈黙を守る人もいる。退官直後に東電顧問に就任した経済産業省資源エネルギー庁の石田徹前長官。わが国エネルギー政策の第一人者で、原発推進論者の加納時男前参議院議員。地元の大災害に意見も言わず、報道されない民主党の小沢一郎元代表…大手メディアは知らないのか、聞かないのか。報道したくないのか。さらには「専門家」と称する人たちから「原子炉の構造」など、幾度聞いても仕方があるまい。視聴者は、問題の解決、対策、時期を知りたいのだ。メディアの質が今問われているのだ。

だが、わたしの近辺にはいい話題が多い。京都の若い友人は「1週間ほどかかるようですが、電池でも何でも送ります」と云ってくれた。「宮城や山形の方に申し訳ない」と丁重に断った。韓国忠北大学で教える友人の根本真嗣氏は「大学の教職員食堂に、地震被害の募金箱が設置された」と伝えてきた。仕事で知り合った和菓子屋の店主は「名物のどら焼き、売り上げ丸ごと寄付に当てます」とブログに書いた。消息不明の韓国青年ナム・ミョンヒョン君は「毎晩心配で眠れない」と深夜の電話があった。大学同窓の中国人ウエイ・ホンさんは「主人ともども日本に帰化し、子どもも元気」とわたしを喜ばせた。

政府や大企業に統一感はなくとも、日本人に一帯感が生まれた。とくに若者たちの動きと考えは素晴らしい。センバツの開会式で「私たちは16年前、阪神淡路大震災の時に生まれました。いま東日本大震災で多くの尊い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです」と選手宣誓した岡山創志学園の野山慎介主将。次世代を担う若者はすくすく育っている。【了】

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PJ 記者