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統一地方選:民主「禁止」は形骸化

 24日告示された12都道県知事選で、民主・自民両党の与野党相乗りは地方議員らの実質支援を含め、計6県に上った。鳥取、徳島、佐賀の3県では前回07年の統一地方選で、自民党の推薦を受けた現職を民主系県議らが支援。民主党本部はいずれも推薦・支持を見送ったものの、事実上、地方県連の相乗りを黙認した。党が掲げる「相乗り禁止」の方針は有名無実化している。

 「党本部として方向性を出していないので、コメントしない」

 民主党の岡田克也幹事長は24日の記者会見で、東京都知事選について素っ気ない対応に終始した。同党は菅直人首相の地元で、独自候補の擁立を見送り。告示前日に都議会会派が無所属新人を推薦し、首都決戦の「民・自対決」を繕った。輿石東参院議員会長は24日の会見で「政権与党の立場で、首都に独自候補を立てられなかったのは残念と言うほかない」とぼやいた。

 今回の知事選で民主党が立てた独自候補は北海道、三重県の2新人だけにとどまる。与野党相乗りは神奈川、福井、鳥取、徳島、福岡、佐賀の6県に上り、福井では3回連続で同じ候補に相乗りとなった。一方、奈良、島根、大分の3県で「不戦敗」を余儀なくされ、島根は3回連続の自主投票が決まった。

 民主党は当初、「相乗り禁止」をうたう党方針に沿って、知事選の独自候補擁立に動いた。しかし、菅政権の支持率が低迷する中で作業は難航。政権交代後初の統一地方選で有権者に十分な選択肢を示せず、課題である地方組織の足腰の弱さを改めて露呈した。

 河村たかし名古屋市長らによる地域政党が支持を集める一方で、全12知事選に独自候補を立てる共産党を除き、既存政党の存在感は乏しい。前回、13知事選中9知事選で党本部推薦・支持候補を擁立した自民党も、今回は6道県にまで減少。政党不信の高まりを受け、「みんなが応援してくれるから、相乗りが一番いい」(自民党幹部)という有力候補者も多く、「政党隠し」の傾向が強まっている。【笈田直樹】

毎日新聞 2011年3月24日 21時40分(最終更新 3月24日 23時43分)

 

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