政治【主張】復興庁構想 組織いじりは時期尚早だ2011.3.25 02:56

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【主張】
復興庁構想 組織いじりは時期尚早だ

2011.3.25 02:56

 政府・民主党内で東日本大震災の被災地復興に向けた「復興庁」創設が検討されているが、菅直人政権が今、力を注ぐべきは新たな役所の創設なのだろうか。

 大震災や原発事故を受けて対策本部や会議が相次いで設けられたが、指揮系統や役割分担が不明確だとの批判は絶えない。特に問題なのは、現行の法律規定が生かされておらず、放置されたままになっていることだ。

 中央防災会議や安全保障会議が一度も開かれていないのが、その一例だ。未曽有の危機に際し、政府の持つ機能を最大限発揮できているとは言いがたい。

 現行制度の下で取りうる方策を再検証し、総力を挙げて実行することによって、首相が司令塔としての役割を自ら明確にしてゆくことが先決である。

 首相が災害対策基本法の中でも重く位置付けられる緊急災害対策本部を設置したのは当然だが、やはり基本法が定める中央防災会議も開催すべきだろう。

 会議には、非常災害の際に「緊急措置に関する計画の作成とその実施の推進」を行う重要な役割が与えられている。

 メンバーには首相や全閣僚のほか日銀総裁や日赤社長、NTT社長、災害の専門家らが加わっており、国を挙げた重要な会議を開くことになる。国民、政治家、官僚組織が国難に立ち向かうことを明確にする意味は大きい。

 安全保障会議は、有事に限らず「首相が必要と認める重大緊急事態」に開催することも定められている。首相は自衛隊について当初は5万人、さらに10万人と派遣規模を拡大したが、安保会議を経て、国家の緊急事態乗り切りの具体的な方策を示すべきだ。

 菅政権が政治主導にとらわれ、官僚機構との意思疎通を欠いている問題が指摘され、22日に各省事務次官らによる連絡会議がようやく設立された。政府内での情報共有や指示の徹底が必要である。

 その意味で、内閣官房参与や首相補佐官などに身内重視との批判が出ていることは、官僚側にさらなる不信感を抱かせる要因となっている。極めて残念だ。

 大規模な予算と歳月を要する復興計画を実現する組織論は、いずれ検討しなければならない。閣僚増員で自民党からの入閣を求めて頓挫したが、復興庁構想もまた政争の具にしてはなるまい。

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