第17回統一地方選前半戦の12都道県知事選が24日告示され、午後5時に立候補の届け出が締め切られた。現職9人、新人30人の計39人(前回44人)の候補が確定。27日告示の5政令市長選、4月1日告示の41道府県議選、15政令市議選とともに、4月10日に投開票される。
知事選が告示されたのは、北海道、東京、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、佐賀、大分の12都道県。
立候補者のうち、無所属候補は計30人に上り、与野党相乗りが6人、与党系3人、野党系・共産系・その他各7人となった。政党公認は共産5人、諸派4人の計9人で、女性候補は前回比1人減の5人だった。
一方、総務省は24日、東日本大震災の影響で、統一選で予定されていた首長、議員選を延期する市町村の2次指定分を発表した。避難者の受け入れ対策などで選挙実施が困難な岩手・宮城・福島3県の28市町村の首長・議員選が対象だ。1次指定分と合わせて、選挙を予定していた3県59市町村(70選挙)のうち、3県48市町村(58選挙)で延期が決まった。
今後、茨城県の市町村などを中心に状況を把握し、震災の影響で選挙ができない自治体があれば、追加指定する。【笈田直樹】
24日告示された12都道県知事選で、民主・自民両党の与野党相乗りは地方議員らの実質支援を含め、計6県に上った。鳥取、徳島、佐賀の3県では前回07年の統一地方選で、自民党の推薦を受けた現職を民主系県議らが支援。民主党本部はいずれも推薦・支持を見送ったものの、事実上、地方県連の相乗りを黙認した。党が掲げる「相乗り禁止」の方針は有名無実化している。
「党本部として方向性を出していないので、コメントしない」
民主党の岡田克也幹事長は24日の記者会見で、東京都知事選について素っ気ない対応に終始した。同党は菅直人首相の地元で、独自候補の擁立を見送り。告示前日に都議会会派が無所属新人を推薦し、首都決戦の「民・自対決」を繕った。輿石東参院議員会長は24日の会見で「政権与党の立場で、首都に独自候補を立てられなかったのは残念と言うほかない」とぼやいた。
今回の知事選で民主党が立てた独自候補は北海道、三重県の2新人だけにとどまる。与野党相乗りは神奈川、福井、鳥取、徳島、福岡、佐賀の6県に上り、福井では3回連続で同じ候補に相乗りとなった。
一方、奈良、島根、大分の3県で「不戦敗」を余儀なくされ、島根は3回連続の自主投票が決まった。
民主党は当初、「相乗り禁止」をうたう党方針に沿って、知事選の独自候補擁立に動いた。しかし、菅政権の支持率が低迷する中で作業は難航。政権交代後初の統一地方選で有権者に十分な選択肢を示せず、課題である地方組織の足腰の弱さを改めて露呈した。
河村たかし名古屋市長らによる地域政党が支持を集める一方で、全12知事選に独自候補を立てる共産党を除き、既存政党の存在感は乏しい。前回、13知事選中9知事選で党本部推薦・支持候補を擁立した自民党も、今回は6道県にまで減少。政党不信の高まりを受け、「みんな応援してくれるから、相乗りが一番いい」(自民党幹部)という有力候補者も多く、「政党隠し」の傾向が強まっている。【笈田直樹】
第17回統一地方選は、共産党を除く各党党首が「第一声」を見送る自粛ムードで始まった。与野党対決色は薄れ、各党とも防災対策や原子力政策を訴えの中心に据える構えだ。
民主党の岡田克也幹事長は24日、街頭演説しなかった理由を「震災対策に全力を挙げるのが党の姿勢だ」と説明。「被災地以外の地域も厳しい環境の中で選挙が行われる。地域の底力が問われる」と理解を求めた。国民新党の下地幹郎幹事長は「日本全体で震災対策を考えることを争点にしたい」と語った。
自民党の谷垣禎一総裁も党務に専念。会見で「生活の安全、安心に関心が高まっている。地方自治が抱える共通の問題を日本全体で位置付ける」と述べ、震災対策に率先して取り組む考えを強調した。
公明党の山口那津男代表は宮城県を視察。「被災者の生活支援、復興支援に総力を挙げる」との談話を発表した。社民党の福島瑞穂党首は党会合で「唯一の『脱原子力』の政党として、政策転換や危険性の克服をしっかり訴えよう」と指示した。たちあがれ日本の平沼赳夫代表も街頭での第一声を行わなかった。
一方、みんなの党の渡辺喜美代表は党会合で「非常事態に統一選が強行されることに強い怒りを覚える。正常な国民の審判とは言えない結末をもたらす恐れがある」と批判。共産党の志位和夫委員長は会見で「自粛は政見を有権者に訴えることを放棄するもの。大震災にどう立ち向かうかを堂々と述べるのは当然だ」と強調した。【中山裕司、野口武則】
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■第2次指定で延期される選挙
盛岡市(議員)
久慈市(議員)
二戸市(議員)
雫石町(議員)
洋野町(議員)
滝沢村(議員)
白石市(議員)
村田町(首長)
川崎町(首長)
利府町(議員)
富谷町(議員)
色麻町(首長)
大衡村(議員)
福島市(議員)
会津若松市(首長、議員)
郡山市(議員)
白河市(議員)
須賀川市(議員)
国見町(議員)
川俣町(議員)
鏡石町(議員)
磐梯町(首長、議員)
猪苗代町(首長)
会津坂下町(首長)
柳津町(首長)
檜枝岐村(首長、議員)
昭和村(議員)
西郷村(議員)
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●知事選立候補者(届け出順)
鰹谷忠(かつや・ただし) 60 [元]道副議長 無新
宮内聡(みやうち・さとし) 48 共産党道委員 無新=[共]
高橋(たかはし)はるみ 57 [元]道経産局長 (2)無現=[自]
木村俊昭(きむら・としあき) 50 [元]農水省職員 無新=[民][社][国]
谷山雄二朗(たにやま・ゆうじろう) 38 映画監督 無新
古川圭吾(ふるかわ・けいご) 41 会社役員 無新
渡辺美樹(わたなべ・みき) 51 飲食店創業者 無新
石原慎太郎(いしはら・しんたろう) 78 作家 (3)無現
ドクター・中松(なかまつ) 82 国際創造学者 無新
マック赤坂(あかさか) 62 政治団体代表 諸新
東国原英夫(ひがしこくばる・ひでお) 53 [元]宮崎県知事 無新
小池晃(こいけ・あきら) 50 [元]参院議員 無新=[共]
姫治(ひめじ)けんじ 59 政治団体代表 諸新
雄上統(おがみ・おさむ) 69 政治団体代表 諸新
杉田健(すぎた・たけし) 43 政治団体代表 諸新
黒岩祐治(くろいわ・ゆうじ) 56 [元]キャスター 無新
露木順一(つゆき・じゅんいち) 55 [元]開成町長 無新=[み]
鴨居洋子(かもい・ひろこ) 66 [元]保育士 無新=[共]
照屋修(てるや・おさむ) 58 不動産業 無新
宇野邦弘(うの・くにひろ) 59 党県常任委員 共新
西川一誠(にしかわ・いっせい) 66 [元]自治省課長 (2)無現=[自][公]
松田直久(まつだ・なおひさ) 56 [元]津市長 無新=[民]
岡野恵美(おかの・えみ) 58 共産党県委員 無新=[共]
鈴木英敬(すずき・えいけい) 36 [元]経産省職員 無新=[自][み]
北野重一(きたの・しげかず) 73 [元]県議 無新=[共]
荒井正吾(あらい・しょうご) 66 [元]参院議員 (1)無現
塩見俊次(しおみ・しゅんじ) 61 県医師会長 無新
平井伸治(ひらい・しんじ) 49 [元]総務省室長 (1)無現
山内淳子(やまのうち・あつこ) 68 団体役員 無新=[共]
溝口善兵衛(みぞぐち・ぜんべえ) 65 [元]財務官 (1)無現=[自][公]
向瀬慎一(むこせ・しんいち) 40 党県地区役員 共新
山本千代子(やまもと・ちよこ) 62 党県役員 共新
飯泉嘉門(いいずみ・かもん) 50 [元]県部長 (2)無現
小川洋(おがわ・ひろし) 61 [元]内閣広報官 無新=[自][公][社][国]
田村貴昭(たむら・たかあき) 49 [元]北九州市議 無新=[共]
古川康(ふるかわ・やすし) 52 知事会副会長 (2)無現=[自][公]
平林正勝(ひらばやし・まさかつ) 63 党県委員長 共新
三重野昇(みえの・のぼる) 72 党県政策委員 共新
広瀬勝貞(ひろせ・かつさだ) 68 九州知事会長 (2)無現=[社]
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<立候補者一覧の見方>
左から▽氏名▽年齢(投票日の4月10日現在)▽職業・肩書([元]は前職を含む)▽当選回数(カッコ内数字)▽政党▽現元新の別。=以下の四角囲み文字は推薦・支持政党。民[民]=民主▽自[自]=自民▽公[公]=公明▽共[共]=共産▽社[社]=社民▽み[み]=みんな▽国[国]=国民▽諸=諸派▽無=無所属
毎日新聞 2011年3月25日 東京朝刊