参院は2011年度の政府予算案を29日に採決する。否決されても衆院の議決が優先するので成立する。国会はこれを受け、東日本大震災の被害を復旧・復興させ被災地再生の対策費を捻出するために、補正予算案の審議に入らなければならない。
11年度予算を震災対応型に組み替えるのが筋だが、時間の制約から政府案の成立は致し方ない。実効ある補正予算を早く成立させる必要がある。子ども手当、高速道通行料の割引などの「ばらまき予算」を削り、対策費に回すのを優先すべきだ。
被害の全容は地震発生から2週間たった今もつかめない。政府は建物、道路、港などの直接の被害額を16兆~25兆円と積算した。生産活動や商取引が不全に陥り、被る2次被害も巨額になるだろう。
11年度予算の予備費を最大限、活用しても震災対応の補正予算は数次の編成が求められよう。1次補正は幹線道の復旧など真っ先に必要な対策費を念頭におくべきだ。
まず子ども手当だ。2歳児までの上乗せ分や中学生への給付の見合わせ、所得制限制の導入などを政府が率先して提案し、野党と合意してほしい。国の負担2兆2千億円を半減させるぐらいは当然である。
子ども手当の財源対策として所得税・住民税の年少扶養控除をやめるので、給付を削れば税負担だけが増える世帯もあるが、やむを得まい。
高速道の無料化実験はやめるべきだ。経済効果がはっきりしないうえに物流が滞るなかでの実験に意味はない。通行料の割引制は自民党政権が取り入れた「休日上限千円」などを含め、廃止すればよい。これらで最大2兆円程度が確保できる。
高校授業料の無償化、農家への所得補償などこのほかの菅政権の「目玉予算」にも削り代はかなりある。
また被災地以外への配分を予定している治山治水や農業土木などの公共事業費のうち、急がない分を被災地に回せば相当、効率化できる。
こうしたやり繰りでしのぎつつ、安定した財源を確保しなければならない。新たな国債発行も避けられないかもしれない。
しかし海外投資家の目は、震災後により厳しくなっている。財政赤字を極力、膨らませない姿勢が大事だ。一時的な増税も視野に入れざるを得まい。法人税率の引き下げ案は国内企業の活力を維持・向上させるために、ぜひ実現させるべきだ。
政府に必要なのは大胆さと細心さである。「復興」の名を借り、無駄なハコモノをつくるような新たなばらまきは避けなければならない。
復興予算、被災地再生、大震災、高速道通行料、財源
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