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’11統一選:神奈川 知事選告示 4人が立候補、第一声 /神奈川

 ◇第一声、そろって災害対策訴え

 第17回統一地方選の幕開けとなる知事選が24日告示され、いずれも無所属新人で、ジャーナリストの黒岩祐治氏(56)、前開成町長の露木順一氏(55)、元保育士の鴨居洋子氏(66)、不動産業の照屋修氏(58)の4人が立候補を届け出た。東日本大震災の影響が首都圏の市民生活にも広がる中、主要候補は第一声で災害対策に声をからした。論戦は4月10日の投開票まで17日間にわたって展開される。

 ◇民・自・公対みんな対共 各陣営応援弁士、政党幹部ら駆けつけ

 知事選は、松沢成文知事の3選不出馬が急きょ決まったことなどから民主、自民、公明3党が県組織レベルで黒岩氏を推薦、与野党「相乗り」で後押しする。みんなの党は露木氏を、共産党は鴨居氏を推薦して野党系の候補として対抗。各陣営の応援弁士の顔ぶれが支持基盤を鮮明にした。

 黒岩氏の出陣式では民主党県連の水戸将史幹事長、自民党県連の菅義偉会長、公明党県本部の上田勇代表が顔をそろえた。菅氏は「政党間の垣根を越えて、黒岩さんを知事に押し上げたい」と強調。連合神奈川の野村芳広会長らも激励のあいさつに立った。

 「オール与党連合対首長連合、オール与党連合対草の根のみんなの党」。露木氏の出陣式で、みんなの党の中西健治参院議員が対決姿勢をあらわにした。横浜駅前では「首長連合」を発足させた川崎市の阿部孝夫市長が「神奈川をよく知っている人でないと務まらない」。

 横浜駅西口での夕方の鴨居氏の街頭演説には、共産党の志位和夫委員長が駆けつけ「与党が二つに分かれて2人になっていますが、このオール与党を選ぶか、県政転換を選ぶか、どうか皆さん、県政を変えましょう」と呼びかけた。

 ◇開成町長選も統一選後半に

 露木氏が知事選立候補で開成町長を自動失職したため、同町長選が同町議選(定数12)とともに統一地方選の後半戦(4月24日投開票)で実施されることが決まった。総務省によると、統一選に新たに組み込まれるケースは全国的に珍しいという。

 同町長選は55年の町制施行からこれまで15回実施され、いずれも2月に投開票が行われた。同町総務課は「(町議選と)同日選になることで費用が500万円は浮く計算になる」と説明する。

 町長選の立候補予定者事前説明会は4月7日に開催される。【澤晴夫】

 ◇出馬「天命と思った」--黒岩祐治氏(56)

 観光客らが行き交う鎌倉駅東口で午後0時半すぎ、第一声を上げた。人を引き寄せる力を磁石に例えた地域再生のキーワード「マグネット」を提唱しており、その象徴的な街としてスタート地点に選んだといい、「行ってみたい、住んでみたい神奈川にしたい」とアピールした。

 大震災とほぼ同じ時期に出馬を打診された経緯に触れ、「国難をいかに乗り越えていくか。天命だと思い、引き受けることにした」。原発事故に伴う電力不足の解決策ともなるという太陽光発電パネルの設置拡大構想を披露し、「県民総力戦で神奈川モデルをつくっていきたい」と訴えた。

 鶴岡八幡宮では必勝を祈願。昨年3月に倒れた大イチョウの根元から芽が出た話を紹介し、「この再生の力。私はその気をもらってきた。この気によって神奈川を再生したい」と決意を新たにした。その後、小町通りを歩いて支持を呼びかけた。

 これに先立ち、横浜市中区の日本大通りで出陣式を行い、関係者約600人が出席した。冒頭で震災の犠牲者に対し黙とう。県組織レベルで推薦する民主、自民、公明3党の県幹部らがずらりと並んだ。【木村健二】

 ◇首長人脈アピール--露木順一氏(55)

 横浜駅西口(横浜市西区)で午前10時半、支援者らと震災の犠牲者に黙とうした後、ビールケースの上でマイクを握った。「(大震災直後の)危機の時代だからこそ、どういうリーダーを神奈川は選ぶべきか」と問いかけ、「まず震災対策に市町村と連携して一生懸命取り組む。これがいの一番の政策。名刺交換をしていては間に合わない」と指摘。13年余りの町長としての経験を踏まえ、県内の首長とのネットワークをアピールした。

 福島県いわき市から開成町に22人の避難者を受け入れたことにも触れ、「保養所がたくさんある箱根やアパートがたくさんある大都市、あるいは温泉のある地域に受け入れる態勢を市町村長さんと一緒に作る」と持論を展開した。

 県内で一番面積が小さい自治体の首長だったことを意識し「大都市だけではなく小さな町村も一緒に繁栄して、政令市にはどんどん権限を譲って大きな仕事ができるようにしていく」と説明。「『オール神奈川』を作るのが使命」と力を込めた。

 演説会には「市町村長連合」呼びかけ人で県町村会会長を務める大井町の間宮恒行町長も駆けつけ、支持を求めた。【杉埜水脈】

 ◇被災者支援、前面に--鴨居洋子氏(66)

 午前10時から横浜市中区のイセザキ・モールで開かれた出発式で第一声を上げた。冒頭、大震災の被災者へ哀悼の意を表し、「救援物資や医薬品などをもっと被災地に届けられるよう全力を尽くし、職員派遣も進める。県営住宅などの提供や、病院、高齢者施設での受け入れも強める」と被災者支援を拡充する考えを明らかにした。

 さらに原発事故を踏まえ「エネルギー政策を自然エネルギーに転換するよう政府に求める」と述べ、建築物の耐震診断や耐震補強工事の推進、水道などライフラインの総点検を約束した。

 福祉政策では、現状の県の待機児童対策を批判。「保育園と特養ホームの緊急整備3カ年計画を作り、待機者ゼロを目指す」と強調した。中小企業支援策として、住宅リフォーム助成制度の制定なども提案。「核も基地もない平和な神奈川を作るために頑張る」と、米海軍横須賀基地の原子力空母配備と米軍基地反対の姿勢を示した。

 会場には被災者支援の募金箱を用意。チラシでも「被災者の救援・生活再建 神奈川県としてあらゆる力をつくします」と記し、震災支援を前面に打ち出した。【松倉佑輔】

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黒岩祐治(くろいわ・ゆうじ) 56 無新

 ジャーナリスト▽早大院公共経営研究科講師[歴]フジテレビ報道記者・番組ディレクター・「FNNスーパータイム」「報道2001」キャスター・ワシントン駐在員▽国際医療福祉大院教授▽早大

露木順一(つゆき・じゅんいち) 55 無新

 [元]開成町長[歴]NHK政治部記者▽梶山静六事務所政策顧問▽内閣府「地方分権改革推進委員会」委員▽総務省顧問▽東大=[み]

鴨居洋子(かもい・ひろこ) 66 無新

 [元]保育士▽新日本婦人の会県本部副会長▽キャンプ座間周辺市民連絡会代表委員▽平和ですみよい神奈川民主県政をつくる会代表委員[歴]座間市ひまわりフォーラム実行委員▽早大=[共]

照屋修(てるや・おさむ) 58 無新

 不動産業[歴]病院職員▽中国・復旦大中退

毎日新聞 2011年3月25日 地方版

 
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