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心のケア、阪神の専門家が乗り出す ボランティアらに「謙虚な姿勢」求める

産経新聞 3月22日(火)20時49分配信

 東日本大震災の被災者に対し、阪神大震災被災者への精神的支援「グリーフ(悲嘆)・ケア」を行ってきた上智大グリーフケア研究所(兵庫県尼崎市)の高木慶子所長(74)らが近く、現地などでケアに乗り出すことを決めた。街が流された喪失感は阪神大震災以上とみられ、高木所長は「細やかな配慮が必要」と指摘。被災地や避難先で支援するボランティアらに対しても「被災者を傷つけないよう、謙虚な姿勢を忘れないで」と訴えている。

 高木所長は、ガン患者のターミナルケアや遺族のカウンセリングを通して悲嘆を研究。平成7年の阪神大震災でも被災者支援を行い、子供を亡くした母親34人の声を集めた本を出版するなど、災害特有の喪失体験の調査を重ねてきた。

 高木所長によると、災害による悲嘆は、家族を亡くすと同時に家や仕事を失うなど喪失体験が重複し、重圧が非常に大きいのが特徴。今回は、津波で住んでいた街がのみ込まれるという阪神大震災にはなかった喪失も加わるため、専門的ケアが不可欠と判断した。

 来週にも研究所のグリーフ・ケア専門家が被災地へ行くほか、高木所長らは関西に避難してきた被災者のケアに当たるという。

 また、心のケアの専門家以外の支援者やボランティアが被災者に接する際の注意も呼びかけ、高木所長は「『私はあなたの苦しみを理解することはできません。許してください』という謙虚な気持ちで被災者の言葉に耳を傾けてほしい」と訴えている。

 津波の様子など自分が気になることを質問したり、被災者の心情を理解しているかのように接すれば、さらに被災者を傷つけてしまう可能性があるといい、「被災者の世界に入って話を聞き、『一緒に生きていきましょう』と声をかけて」と強調する。

 その上で、被災者は悲しみを一人で背負わず、周りの人たちに支えられることが重要と指摘。「つらさや不安を抱え込まず、表に出してほしい。書いたり、歌ったり、絵を描いたり、手段は何でもかまわない」と呼びかけている。

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最終更新:3月22日(火)21時2分

産経新聞

 

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