「7時間放水を執拗に要求」と猪瀬副知事 経産省は反論、真相はやぶの中
J-CASTニュース 3月22日(火)20時42分配信
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猪瀬副知事の発言が波紋 |
東京消防庁のハイパーレスキュー隊員が、決死の放水作業後に涙の会見をしたのは記憶に新しい。
■猪瀬氏「現場を知らない」と批判
いったん都内に戻り消防学校に集まった彼らに対し、猪瀬直樹副知事は2011年3月21日、石原慎太郎知事とともに慰労に訪れた。ブログは、そのときに同隊幹部から現場の状況について報告を受けたものを同日中にまとめたものだ。
猪瀬氏は、政府側の対応について、ブログで問題点をいくつか挙げている。
それによると、当初は、4時間の放水予定で、必要があれば再度放水することになっていた。それが、「連続して7時間放水し続けるよう執拗に要求された」というのだ。このため、2台ある放水塔車のうち1台がエンジンの焼き付きで使用できなくなった。
また、海から放水塔車まで給水ホースを800メートルの最短距離に設定していたが、「遠回りにするように執拗に要求された」。さらに、石原知事が菅直人首相に抗議して話題になったが、「俺たちの指示に従えないのなら、お前らやめさせてやる」と処分をちらつかせたとしている。
こうした要求や指示は、原発から約20キロも離れ、無線状態も悪い前線指揮所からあったといい、現場を知らないのに、レスキュー隊に方針変更を度々要求してきたと批判している。また、「政府・東電の指揮命令系統が明確でないことがわかった」とも言い、猪瀬氏は、「職員の命を預かる隊長としては、現場をわかっていない人達に職員の命を預けるわけにはいかない」とその気持ちを代弁している。
これに対し、経産省の原子力災害対策本部では、取材に対し、問題とされたそれぞれの点に反論した。
■経産省は「現場の判断」も強調
7時間放水については、経産省の広報班では、「現場の状況を見ながら、放水時間を対策本部で議論して決めました」と説明する。レスキュー隊の現場と役割分担しながら協力してやっているといい、執拗に要求したわけではないと言いたいようだ。
また、給水ホースの設定は、主に「現場の判断」だったことを明らかにした。広報班は、「放射線量が高く、爆発による飛散物があり、当初考えていた距離ではできませんでした。そのことを本部と連絡しながらやったということです」としている。
レスキュー隊に処分をちらつかせたという点については、海江田万里経産相が会見で、その事実は明言しなかったが、「私の発言で消防の方が不快な思いをされたのなら申し訳なく思う」と陳謝している。
経産省の広報班は、現場を知らなかったなどとの猪瀬直樹副知事の指摘には否定的な見方を示し、「事実確認が足りずに整理しないで書いているようでもありますので、あまり気にしていません」と言っている。
なお、東京消防庁の報道係によると、放水塔車は、エンジン焼き付きではなく長時間運転による排気ガス処理装置の不具合で、14時間ほど使って車両交換した。別の1台で7時間ほど放水したが、予定で4時間しかできなかったわけではなく政府側と協議した結果だという。また、給水ホースの設定は、要求されたわけではなく、爆発によるがれきなどがあったため、現場での判断で800メートルの距離にしたとしている。
猪瀬氏は、聞き取りの際の誤解もあったようだ。しかし、指摘のような要求があった可能性もあり、真相はまだ不明だ。
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最終更新:3月22日(火)23時2分