「祈るしかない」原発修復作業を見守る家族
読売新聞 3月25日(金)3時9分配信
「俺が行かないと回らない」と家族に言い残して現場に向かった父。地震後、一度も帰宅せずに事故対応を続ける夫――。火災や爆発の続く東京電力福島第一原子力発電所内で、東電関係者が必死の修復作業に追われている。
24日には作業員3人が被曝(ひばく)した。危険と隣り合わせの作業の行方を、家族は不安を押し殺して見守っている。
「夫は無事でいるのか。それだけが頭から離れない」
3号機で作業中の3人が被曝したニュースを耳にして、50歳代の女性は声を震わせた。東電社員の夫とは、11日の地震発生以降、顔を合わせていない。施設内で地震に遭遇した夫は、その後も現場にとどまり、事故対応に追われている。これまで言葉を交わせたのはわずか3回の短い電話だけだ。
1回目は14日。1号機で水素爆発が起きた2日後だった。「被曝してない?」と尋ねると、「少しだよ。現場は戦争状態だ」とだけ返ってきた。
火災や爆発のニュースを見るたび、いても立ってもいられなくなる。だが、女性から電話しても夫の携帯電話にはつながらず、ひたすら夫からの電話を待つ。
福島県内の避難所に身を寄せる30代の主婦は、夫から届いた3通の携帯メールを何度も読み返している。1号機周辺で作業に携わる夫ら作業員からのメールの着信は、いずれも深夜か明け方。夫たちはイスを並べてようやく仮眠するような状態で、食料も少なく、口にするのは栄養補助食品や缶詰ばかりだという。
普段は冗談ばかり言う夫だが、事故後、現場に向かう際には「とにかくやるしかない」と短い言葉を残しただけだった。寂しがる小学生の子供2人を、「パパも一生懸命頑張ってるから」となだめているという。
「作業員の被曝のニュースを聞くと、もう逃げてほしいと思ってしまう」としながらも、主婦は「懸命に働く姿を想像して、あとは祈るしかない」と自分に言い聞かせるように語った。
現在、2号機周辺で作業している男性は、地震発生直後、「俺が行かないと現場が回らないから」と家族に言い残して、自宅を出たという。20歳代の長男は、数日後にかかってきた電話で父から「自分も被曝していると思う」と打ち明けられた。覚悟を決めたようなその口調に、長男は何も言えなかったという。長男は今、宮城県内の被災地でボランティアに取り組む。父親の姿に、自分も誰かの役に立ちたいと思ったからだという。「危険と隣り合わせで頑張っているオヤジは誇り」という長男は、一日も早い原発の修復を祈っている。
24日には作業員3人が被曝(ひばく)した。危険と隣り合わせの作業の行方を、家族は不安を押し殺して見守っている。
「夫は無事でいるのか。それだけが頭から離れない」
3号機で作業中の3人が被曝したニュースを耳にして、50歳代の女性は声を震わせた。東電社員の夫とは、11日の地震発生以降、顔を合わせていない。施設内で地震に遭遇した夫は、その後も現場にとどまり、事故対応に追われている。これまで言葉を交わせたのはわずか3回の短い電話だけだ。
1回目は14日。1号機で水素爆発が起きた2日後だった。「被曝してない?」と尋ねると、「少しだよ。現場は戦争状態だ」とだけ返ってきた。
火災や爆発のニュースを見るたび、いても立ってもいられなくなる。だが、女性から電話しても夫の携帯電話にはつながらず、ひたすら夫からの電話を待つ。
福島県内の避難所に身を寄せる30代の主婦は、夫から届いた3通の携帯メールを何度も読み返している。1号機周辺で作業に携わる夫ら作業員からのメールの着信は、いずれも深夜か明け方。夫たちはイスを並べてようやく仮眠するような状態で、食料も少なく、口にするのは栄養補助食品や缶詰ばかりだという。
普段は冗談ばかり言う夫だが、事故後、現場に向かう際には「とにかくやるしかない」と短い言葉を残しただけだった。寂しがる小学生の子供2人を、「パパも一生懸命頑張ってるから」となだめているという。
「作業員の被曝のニュースを聞くと、もう逃げてほしいと思ってしまう」としながらも、主婦は「懸命に働く姿を想像して、あとは祈るしかない」と自分に言い聞かせるように語った。
現在、2号機周辺で作業している男性は、地震発生直後、「俺が行かないと現場が回らないから」と家族に言い残して、自宅を出たという。20歳代の長男は、数日後にかかってきた電話で父から「自分も被曝していると思う」と打ち明けられた。覚悟を決めたようなその口調に、長男は何も言えなかったという。長男は今、宮城県内の被災地でボランティアに取り組む。父親の姿に、自分も誰かの役に立ちたいと思ったからだという。「危険と隣り合わせで頑張っているオヤジは誇り」という長男は、一日も早い原発の修復を祈っている。
最終更新:3月25日(金)3時9分