ボクシングの真正ジムと帝拳ジムは24日、東日本大震災の影響を考慮し、WBC世界フェザー級王者・長谷川穂積(30)=真正、同スーパーバンタム級王者・西岡利晃(34)、同スーパーフェザー級王者・粟生隆寛(26)=ともに帝拳=のトリプル世界戦(4月8日)の会場を、東京・両国国技館から神戸ワールド記念ホールに変更すると発表した。試合は「復興支援チャリティーマッチ」として開催し、興行収入の一部は義援金に充てる方針。
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15日後に迫った世界戦の会場を、急きょ東京から神戸に変更した。緊急会見を開いた真正ジムの山下会長は、「東日本大震災があり、今も余震が続いている。お客様と選手の安全を確保するため」と説明。前夜に決断したという。
山下会長は兵庫県伊丹市在住で、95年の阪神・淡路大震災を経験している。「大震災から復興を遂げた神戸の地で、(兵庫県)出身の長谷川、西岡、そして今回被害があった千葉県出身の粟生が素晴らしい試合をすることで、少しでも勇気を与えることができれば」と力を込めた。
世界戦直前の会場変更という異例の事態にも、長谷川は「影響ない」ときっぱり。ただ、「今、ボクシングをしていていいのか、という思いはある」と表情を曇らせた。「一人でも楽しみにしてくれている被災者がいるなら、やる意味はあると思う。自分が勝つことで、その瞬間だけでも笑顔になってくれたら」と、強い思いを口にした。
会見後に約1時間ジムで汗を流し、「いい感じできている」と笑顔。対戦相手のジョニー・ゴンサレス(メキシコ)は、未曽有の大災害に見舞われた日本にやってくる。「『日本を元気づけたい』と話していると聞いた。そういう意味では仲間。いい試合をしたい」。宿敵と“共闘”し、被災地にパワーを届ける。
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