九州電力の真部利応社長は24日緊急会見し、定期検査中の玄海原子力発電所2、3号機(佐賀県玄海町)の発電再開を当面延期すると発表した。2号機は3月下旬、国内初のプルサーマル発電を行っている3号機は4月上旬の運転再開を予定していた。東京電力福島第1原発の事故を受け、国の安全対策見直しや地元での不安の高まりを考慮した。運転停止が長期化すれば、夏場の需要期に供給力が不足し、暮らしや経済活動に影響が出る可能性もある。
真部社長は発電再開時期は「はっきりしない」と述べ、国の見直し方針が定まるまで再開できないとの考えを示した。国の方針が出れば、地元の意向も踏まえ、直ちに再開するとした。
再開延期を受け、九電は同日、副社長をトップとする「緊急需給対策委員会」を設置。運転停止が長引いた場合のシミュレーションに着手した。不足分は、石油火力発電所の追加稼働などで補う方針。燃料の石油は約1カ月分備蓄しているが、その後、新たな燃料調達が必要となる。
また、玄海原発2基(出力計173万9千キロワット)に加え、5月の連休明けには川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市、出力89万キロワット)も国の定期検査に入る。3基が停止することになれば、夏場は「供給力がぎりぎり不足する」としている。
真部社長は、現段階で東電のような計画停電の可能性は否定したものの、「あらゆる事態を想定せざるを得ない」と述べ、計画停電や他電力からの融通、利用者への節電要請なども視野に入れ、シミュレーションを進める構え。
=2011/03/24 西日本新聞=