もの.あじがさわ.jp 鰺ヶ沢のイロイロをお取り寄せ!

鰺ヶ沢アイテムの情報&物販&コミュニケーションサイト

三味線の巨星・埋もれていた幻の音

By • 2月 11th, 2008 • Category: カバーストーリー
高橋竹山と鰺ヶ沢甚句

津軽三味線の巨星、初代・高橋竹山氏が没してから、今年二月で十年を迎えました。

その超絶技的な「手」から繰り出される、太棹三味線の伝説的な音色は、淡雪ほどに繊細で、かと思えば地吹雪のように厳しく鳴り響き、今でも永遠に聞いたものの耳に残るかのようです。

そんな伝説的巨匠と鰺ヶ沢町には浅からぬ縁が幾つかあります。
まず手始めに、鰺ヶ沢町の無形文化財である鰺ヶ沢甚句(現行バージョン)の成立について、竹山自身が自著のなかで次のように言及しています。

津軽の民謡といってみたところで、おらもじょんから、よされ、おはら、など五つか六つしか知らなかった。雲竹さんは、むかしからたくさん知っているが、 それには三味線がついていないもので、舞台でうたったり、放送の時に三味線がほしい。「高橋、何月何日に放送するから、これに三味線つけろじゃ」 いわれれば、おらもつけないわけにいかないし、とにかく雲竹さんのうたをきいて、覚えてそれに、おらが三味線をつけた。弥三郎節、十三の砂山、鰺ヶ沢甚句、とらじょ様、リンゴ節、ワイハ節などみなそうだ。

高橋竹山/自伝津軽三味線ひとり旅 新書館 より)

幻の演奏

鰺ヶ沢甚句EPレコード盤昭和41年ごろの事。 鰺ヶ沢でレコードを制作しようという話が持ち上がります。それは、鰺ヶ沢に由来・伝承する『鰺ヶ沢甚句』『鰺ヶ沢くどき』『正調・鰺ヶ沢甚句』の三曲を収録したシングル盤、いわゆるEP盤というやつです。この三曲の伴奏を担当したのが、高橋竹山その人でした。当時の収録に参加した長谷川兼己氏は、その時の様子をこう述懐します。

「なにかの機会に成田雲竹と話す機会があり、その流れで関係者一同、竹山に演奏をお願いしにいった。これこれこういう訳でと、三曲の伴奏をお願いすると、その場で『あんた、太鼓をこう叩いてみろ』という。言われるままに叩いてみせると、『うん、それでいい』ってことになって、そのままスタジオで太鼓を叩くことになった。」

先にも記したとおり、鰺ヶ沢甚句の演奏部はそもそも高橋竹山によって成立したものですし、他の二曲もそれまで確固とした譜面があったわけではありません。これらのことを合わせて考えると、その場その場で演奏が形作られていったことがうかがえます。これら三曲、鰺ヶ沢甚句、正調・鰺ヶ沢甚句、そして鰺ヶ沢くどきに対する竹山の解釈がそのまま演奏となって収録されたと見るべきでしょう。つまり、この演奏は他にはない貴重なオリジナル音源だったのです。

復刻された音源

このレコードは、一般に販売されたものではなかったために、きわめて限られた範囲しか流通しませんでした。ほとんど町内の一部にしか行き渡らなかったのではないかと考えられます。そのうちに時代はレコード盤からCDへと変わり、その存在は忘れ去られて行ったのです。しかしつい数年ほど前に、鰺ヶ沢町在住の有志たちの手によって作られた鰺ヶ沢町の様々な音を収録したCD「音 in あじがさわ」に収録されたことによって、この幻の演奏が再び世に出ることになったのです。氏の演奏の一部はこちらで試聴することができます。


音 in あじがさわ 改訂版
「おと in 鰺ヶ沢 改訂版」
地元の伝統音楽、あじがさわ民話の語り、あじがさわが有する自然の音など、ギッシリ詰まった鰺ヶ沢ゆかりの音楽CDです。<収録内容>01 初夏の鳥たち〜権現様の太鼓 / 03. 鰺ヶ沢甚句 / 04. 民話・さんこぎつね / 05. 鰺ヶ沢くどき / 06. チャンチャレンコ・一丁目 / 07. 民話・鬼神太夫 / 08. よかぐら・一丁目 / 09. 夏の海・七里長浜 / 10. 鰺ヶ沢ねぷた囃子・戻り / 11. 民話・おたからがめ / 12. 正調鰺ヶ沢甚句 / 13. 鰺ヶ沢音頭 / 14. 鰺ヶ沢ねぷた囃子・止まり(喧嘩太鼓) / 15.地吹雪 / 16.登山囃子・戯れバージョン / 17.鰺ヶ沢小唄 / 18.ウエストコーストの風を… / 19.鰺ヶ沢町民歌

[ 詳しい情報/ご購入 ]

Tagged as: , , ,

: 鰺ヶ沢町の地域ポータルサイト"www.ajigasawa.jp" の運営者であり、ご当地ブログ"徒然あじがさわ"の著者。鰺ヶ沢の情報を発信すべく日々ご町内にアンテナを張り巡らせている。もちろん鰺ヶ沢町在住。
Email this author | All posts by

Leave a Reply