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イレッサ和解勧告は「医療の根本を否定」―国立がんセンターが見解

医療介護CBニュース 1月24日(月)20時55分配信

イレッサ和解勧告は「医療の根本を否定」―国立がんセンターが見解
イレッサ訴訟の和解勧告に、「医療が成り立たない」との懸念を示す嘉山理事長(1月24日、国立がん研究センター)
 肺がん治療薬「イレッサ」をめぐる訴訟で東京、大阪両地裁が示した和解勧告に対し、国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)は1月24日、イレッサ被害は薬害ではなく、あくまで副作用によるものだとし、「副作用での不幸な結果の責任を問うという判断は、医療の根本を否定する」との見解を発表した。

 見解では、イレッサの副作用である間質性肺炎について、▽身近な薬でも発生する副作用の一つである▽添付文書に重大な副作用として記載されているほか、国は市販後も副作用情報を集め、緊急安全性情報を出している―といった点から、「薬害エイズやB型肝炎のような人為的過誤による薬害被害とは全く異なる」「(国は)医療現場から見ても、イレッサの安全性の確保に十分注意してきた」と説明。不可避なリスクの責任も問われるようになれば、「すべての医療は困難になり、効果のある患者さんも恩恵が受けられなくなる」と強調している。

 嘉山理事長は記者会見で、「誰も予測できなかった副作用を誰かのせいにしては、医療が成り立たない」と述べ、抗がん剤の副作用による健康被害に対しても、ほかの医薬品のような国の救済制度を創設すべきだと主張した。また、会見に同席した卵巣がん体験者の会スマイリーの片木美穂代表、NPO法人グループ・ネクサスの天野慎介理事長は、今後の薬事承認への影響を懸念し、「イレッサが必要な患者もいる」「安全で迅速な承認が阻害されないよう祈っている」などと語った。

■「薬事行政の委縮を危惧」―肺癌学会も見解
 日本肺癌学会も同日、和解勧告に対する見解を発表した。
 見解では、重篤な間質性肺炎が起こる可能性を承認前や承認直後に予見するのは、非常に難しかったと指摘。当時の判断や対応について過度の責任を求めることで、「新しい医療技術や医薬を迅速に国民に提供することがきわめて困難になることを危惧する」としている。また、こうした責任追及が、「薬事行政のさらなる委縮、製薬会社の開発意欲の阻喪、ひいては世界標準治療が我が国においてのみ受けられないという大きな負の遺産」につながると訴えている。

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最終更新:1月24日(月)20時55分

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