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イレッサ和解勧告の見解「厚労に頼まれた」−医学会・高久会長

医療介護CBニュース 2月24日(木)20時47分配信

 肺がん治療薬「イレッサ」をめぐる訴訟で東京、大阪両地裁が示した和解勧告に対し、「強い懸念」を表明した高久史麿・日本医学会長の見解について、厚生労働省が案として作成した文書を高久会長に提供していたことが分かった。高久会長は、「見解を出すよう厚労省から頼まれた」としている。

 文書は「肺がん治療薬イレッサ(の訴訟にかかる和解勧告)に対する声明文」と題するもの。厚労省によると、高久会長が見解を発表する3日前の1月21日に提供したという。その中では、「今後の日本の医療の進展を阻むような内容が示されており、裁判所の判断に懸念を禁じ得ない」などとしており、がんが死因別死亡率のトップを占めることなど、高久会長の見解と全く同じ表現の文章があった。さらに、「日本医学会として懸念の声明を発します」との記載もあった。

 同省医薬食品局安全対策課の佐藤大作・安全使用推進室長は、キャリアブレインの取材に対し、「高久会長にも、声明を出さなければならないという認識があり、参考として、これまでの経緯や国の考えをまとめたものを渡したが、見解を出すよう頼んだつもりはない」と説明。しかし、「『日本医学会として懸念』としたのは、学会に働き掛けをしたと見られても仕方ない」としている。

 一方、高久会長は、「厚労省側が面会を申し入れてきて、『これで見解を出してくれないか』と文書を持ってきた」といい、見解を発表したのは厚労省からの依頼があったためだと説明。「それまで出すつもりはなかったが、長い付き合いもあり、もともと関心のある問題でもあったので」見解を出すことにしたという。依頼の意図について、厚労省側から特に説明はなかったというが、「和解勧告が厳しい内容だったので、和らげてほしかったのではないかと思う」と述べた。
 高久会長はまた、「表現は一部共通するかもしれないが、趣旨が違う。厚労省の文書はメーカー(製薬企業)のことがあったが、わたしは医師のことや無過失補償制度のことを強調した」と説明している。

 高久会長が発表した「肺がん治療薬イレッサ(の訴訟にかかる和解勧告)に対する見解」では、「添付文書に記載があってなお過失があると言われては、正直、現場は途方に暮れてしまう」などと主張。「ゲノム情報などを用いて副作用の事前予測の精度を高めること」や、副作用被害に対して「社会全体で適切に補償すること」が必要だとした上で、「禍根を残しかねない今回の和解勧告について、強い懸念を抱く」と訴えていた。

■細川厚労相「しっかり調査する」
 また、細川律夫厚労相は2月24日の衆院予算委員会でこの問題に触れ、「指摘されたような事実があるかどうか、しっかり調査したい。その結果に基づいてわたしなりの判断をしたい」と述べた。共産党の高橋千鶴子氏の質問に答えた。

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最終更新:2月24日(木)20時47分

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