富士見ミステリー文庫：著・桜庭一樹
“一弥とヴィクトリカひとなつの物語。”
【少女は白いドレスを着て、緑の絨毯の上で待っていた。草いきれすらも、心地よい。会えるのだから。二人しか、ここには居ないのだから。そう、陶製の人形のような少女―ヴィクトリカは、今日も彼が来るのを待っている。少年・久城一弥が、かけてくるのを。芽吹いた緑たちが。噴水からこぼれ落ちる水の青が。そしてそれらが照らす陽の赤が。すべての色が輝きを増し、光に包まれ、命が生きようとする季節―夏。やがて訪れるであろう崩壊と、別離を前にした一瞬の平和―刹那。二人だけの学園にて、一弥とヴィクトリカは同じ時を生きる。世界を語る。謎を―混沌の向こうにある心を知る。そして、お互いを思う。ひと夏の間に重ねられる、淡い逢瀬の物語。ゴシック・ミステリー短編集！】
※この先はネタバレを含んでいます。未読の方はご注意ください。なお、かなりキワドイ発言が一部にありますが、相手にしないほうが賢明だと思うがね、君（何様
フウウウウウウ〜〜〜
あの桜庭さんの「GOSICK」…あれ……初めて見た時…
なんていうか……その…下品なんですが…フフ…………
・
・
・
勃起……しちゃいましてね…………
ってなわけで！
とうとう直接的表現に踏み立った脳髄が腐りきった俺ッ！
だが、俺は負けない！世間の白い目になど屈するものか！
そして。
はっきりと言っておこうッ！
人物及び作品を評する際には神及び神レベルなどという表現をする気は一切ない。
それが、いかに尊敬する人物であろうとも、どれほど魂を震わせる作品であったとしてもだ。
ココではさんざ桜庭さん（本名・真理子）を持ち上げているが、それは単純に俺が彼女に惚れ込んでいるだけだ。
相手は同じ人間。どこまで言っても、所詮はその枠からはみ出すことなど到底ありえないし、そのたった一言によって己の感性を安易に表現する気もさらさらない！
だから、俺はこう言うのだ。
「惚れた」と！！！
ん？本質的にはあんま変わらん？
貴様（失礼）、いったいどこを見ている？まったく違うではないか、なぜなら…
これは間違いなく愛（ぅわい）だッ！（ぉ
だからこそ、あえて言おう！
真理子、俺の愛人（ラ・マン）よッ！
まあ、いい歳こいたおじさんのキモい妄想はおいといて。
内容。
今回は前巻（Ｓ１巻）と違って、ほぼ完全に独立している短編集である。
時間軸的には夏休みの２ヶ月（社会人には羨ましい…）の間がそれぞれの出来事として書かれている。
ので。
時間軸に添って、一編ずつ行こうではないか君（ぉ
ちなみに完全に読了後を前提に記していくので、注意されたし。
今回のキーワードは「サブキャラはすでにサブキャラにあらず！」ｗ
・第一話 仔馬のパズル
ぶっちゃけ、Ｓ１巻で出題（？）されたこれだが、理屈的には謎解きですらないと思った俺はかなり病んでいるのだろうか？（汗
ロバの胴体部分（一番大きなパーツ）を見れば一目瞭然だと思うのだが…
ちなみに一弥の次兄のお返しクイズは、一秒どころか──
ぶっちゃけ、半秒で分かった（こういう人は少なくないと思うが
さすがに狙い目（購買層）の年齢が低いので、こういう部分はヌルめ。
もっとも、今作はそういう部分を楽しむ作品でないのは、重々承知の助（何
で。
せっかく、アブリルから地中海へのリゾートへ誘われた（当然、と、とととと泊りがけ！）一弥ではあるが…
学園内から出られない友人という名の愛人（ラ・マン）を放っていけるハズなどなく…
アブリルは独り淋しく旅立って行きましたとさ…（イラストつきなのが切ない
なんて可哀想な
というわけで、実質的に学園内はヴィクトリカとの愛の巣になったと言うことか一弥（厳密には他の先生がいるんだけど…
なんていうか、逝 ね 。
とだけ言っておこうか（ぉ
あ、せっかくだから俺も出題してみるか…
とあるドアがありました。
ですが、そのドアはとじたりしまったりしています。
見る限り辺りには他の誰もいません。
さて、これはいったいなぜでしょうか？
ちなみに自動ドアだとか、超理論とか、他の生物が干渉しているわけではありません。
では、この答えは最後に。
・第二話 花振る亡霊
ここで、アブリルのターン！デッキから一枚ドロー！のちサレンダー（ぉ
今まで散々
まあ、ようはイタリアにいるおばあさまの宅の旅先で出会った事件についての語り部になったわけだけど…
『久城くん、ボンジョルノ！』
この手紙の書き出しだけで、掴まれたｗ
ああ、アブリルはいいなぁ…おばかで。
それと意地悪で屋敷を追い出したい従姉妹のフラニーとの会話。
「こんなこわい事件がたくさん起こったら、あなた、もう別荘にいられないじゃない？きっとすごくこわいでしょ？そのはずよ……」
「ううん、ぜんぜん！」
ああ、ホントいいなぁ…おばかで。
ところで、一弥よ…
「正直、ぼくには、そういうことはよくわからないよ。艶事にはまったく、門外漢だからね」
『（謎がヴィクトリカにとって）花ではない、貢ぎ物、か……。その少女がもっとも喜ぶもの。どうしても届けたい、のか……』
頬 染 め て ん じ ゃ ね え 。
ああ、キモいキモい。キショい。もう“全身バリア”どころか“1000年バリア”だよ！（分かるかな、コレ…
しかし、迷い込んできた犬（今巻の重要な伏線）を見て。
「……ふむ、なかなかかわいいな」
こういうヴィクトリカはちょっと新鮮でしたとさ。
・第三話 夏から遠ざかる列車
ああ、まただ…またやられた…
桜庭流、叙述トリック炸裂ッ！！！
畜生おおおおおおああああああっ！
まただ、また騙された…おのれ、おのれえ…
真理子…もう許さねえぞ、このアマ（ぉ
──も う 犯 す ！（侍魂の牙神幻十郎風
なんたって、コレですよ奥さん（何
ミス・ラフィット＝セシル先生
メイドのゾフィ＝赤毛の寮母さん
間にいちゃいちゃするバカップル（すでに固有名詞無視）を挟みながら、さりげなく時間軸が違うというこの手法！
そして、これまでフルネームが出てこなかったセシルと、その名前さえなかった寮母さんを使った巧妙な手口。
まさか、これを計算に入れてここまで引っ張ったんじゃないだろうな…
もし、そうだとしたら、もう俺は本気で結婚を申し込むぜ！（士ね
前章で犬が出てきた時点で「ああ、セシルの犬だなきっと」とか思ってたんだけどなぁ…（Ｓ１巻で犬がいるって記述はあったし
しかし、先生と寮母さん（あんまゾフィとはあまり言いたくないなぁ、ウ○トラマンみたいだし汗）の間にはそんな友情が…
ここ、感動するところだけど…
「ゾ、ゾ、ゾフィ〜！お金貸して〜」とか…
「何をそんなに怒っているのよ？それに、後にして。生徒が見ている！それにわたしの威厳が！」とか…
「お金は後で借りに来る！」とかで…
だ、台無しだ…ダメだ、ダメだと思っちゃいたが…
ここまでダメなオトナだったとは！！！
そういえば、寮母さんも人（主に一弥）の物を持っていく癖があったけど…
結局、似た者同士だったと（爆
「人は本当に大切なお友達とは、離れても、また逢えるはずなの」
このセシルの言葉に一弥は真っ先に…
ヴィクトリカのこと考えてるんじゃねえ。
はいはい、ごちそうさま。それ以上、こっちくんなよ〜“六重バリアー”（主にう○こ踏んだヤツに使う
・第四話 怪人の夏
とうとう舞台は日本へ！
ある意味禁じ手だった気がしないでもない、一弥の家族がついに登場。
しかも密かに気になっていた姉・瑠璃たん（キモッ）のターン！
まさに、神のカードでワンターン・キルッ！（ぉ
鼻筋は通って、大人びた美貌だ。なぜかうなだれて、机に肩肘をついてぼんやりと窓の外を眺めている瑠璃に、周りをうろつく取り巻きらしき華やかな少女たちが、一生懸命、赤い塗りの櫛で髪をとかしてやったり、口の中にお菓子をつめこんでやったり、袴の埃をはらってやったりしている。
「はぁ……」
そんな華やかな取り巻きたちの様子に気づくこともなく、瑠璃はため息ばかりついている。
「はぁぁ……」
取り巻きの少女たちは顔を見合わせあう。それから一人が小声で、
「瑠璃さま、どうなさったのかしら。最近の元気のなさは尋常ではないわ」
「口から魂が半分ほど出てしまっているわね」
「どうやら、あれよ。例の弟のせいなのよ」
少女たちは一斉にきれいな顔をしかめる。口々に憎々しげに、
「あの、弟！」
「なんだっけ？ カズオ？ カズシ？」
「一弥よ、一弥。久城一弥。ふたぁつ年下なのよね。士官学校に通っていた、ほら、とくに特徴のない」
「瑠璃さまの弟なのに、普通の」
「一弥め」
「ずぅっと、瑠璃さまを独り占めにしていたくせに。お弁当だって、瑠璃さまの手作りだったのよ？」
「一弥め」
「それなのに、確かヨーロッパの、遠いお国に留学するって、突然旅立ってしまったの。泣いて取りすがる瑠璃さまを足蹴にして、高笑いとともに去ったのよ。男なんて！」
「一弥め」
「一弥め」
「あぁ、憎い」
一 弥 め ッ ！！！（超絶呪詛
が…
（あぁ……退屈だわ）
（一弥さまがいなくなってからというもの、からかう相手も、いじめる相手も、かわいがる相手もいなくて、わたくしの毎日って、まるでばかみたいよ……）
（さみしいよぅ……）
ダメだ、このねーちゃん！
確かにこれまでほのめかされてきたことだけど…
マジで救いようがないほど超々ブラコンじゃねーか！
く、くそっ、なんて…なんて、なんてっ！
羨 ま し い ん だ 、一 弥 ッ ！
来い、絶影ーーーーっ！（思わずアルター顕現
舞い散れ、一弥あああああああああっ！
ま、まあ、とりあえず…とりあえずだ。
クールだ。クールになれ、そる。
クール、クール。俺はクール…船舶乗組員（それはクルー
姉ちゃんなんだ…俺には『女イコール姉ちゃん』なんだ…
バルッ（謎
「そる」は、このムッツリスケベ（注・一弥のこと）の発する欲情のにおいを触覚で感じ……
そのにおいが大嫌いだった。
「そる」は思った。
「こいつのにおいを消してやるッ！」
と、このままでは進まんので…話を戻すと。
勝手に組まれた縁談。その相手は…
むさいおっさん（20代だけど）かつ髭もじゃで、顔が菱形の武者小路氏。でも──
なんだ、いい男ではないか。
10年越しの想いのみならず、まだ10年待つというその心意気。
まあ、世間一般の婦女子の観点からはさぞかし「キモい」のだろうが…
毒男からみれば、天晴れであります押忍！（極真空手風
それでも、多少なりともグラっときた瑠璃はやっぱり“我がまま照れ屋さん（非ツンデレ）”であり、素直になれないけれど…
美女と野獣カップルが生まれるのは、まあ、そう遠くないかと（爆
しかし、例の“怪盗”の一件（正体バレバレだけど）とか片付いてないし、まだ次巻へ続くのかしらん？
・第五話 絵から出てきた娘
やっと今回初登場の変態ドリル・グレヴィール。と、言いたいところだが…彼はお目当てのビスクドールを競り落とすために、ソブレムへ（ココ伏線ね
そういうわけで今回の主役は、例の手を繋いだ警官ふたり──
ついに名前が判明！（てか、名前あったのね汗
つり目がちで痩せているほうが、イアン。
垂れ目でぽっちゃりしているほうが、エバン。
ごめん、イラスト上では区別がつかない…日向さんにしては痛恨のミス。
恐らく、桜庭さんの指示と連携が取れてなかったんだろうけど…それともワザとやってますか？（その必然性は漢字ない
しかし、警部と同じく人形趣味（ヴィクトリカを相手するところを見て）があると誤解された一弥、ちょっと哀れ。
ところで、ヴィクトリカは普段お菓子しか食べてないのだろうか？カラダに悪い気がするんだが…
前世はマリー・アントワネット？（違
・第六話 初恋
明かされた５巻での謎！
なぜ、グレヴィールのドリルが増えていたのか、それは──
今はもう人妻でありながらも、密かに想い続けている幼なじみジャクリーヌのため。
オークションで彼女を庇うために、買う気もなかった変な仮面に大枚はたいたり（そのせいで人形が買えなかった）、異母妹の悪魔的要求に応じたり…
なんて健気な！
だが報われない、あまりに報われないぜ兄貴。
あの時──子どもの頃にその想いさえ届いていたらねえ。お互いに思い慕っていたというのに…
結局、ふたりが結ばれなかった事実。まだそこに明確な理由は語られていないけども（なかったよね汗
切ねえな、兄貴…
しかし、初恋ってのはやはり上手くいかないものなのかねぇ…
とおじさんも“far away eye”をしてみる（間違った英語
総括。
今回は冒頭で述べたとおり、サブキャラたちに主眼が置かれ──
それぞれの想い…友情であったり恋慕であったりが、比較的小さな事件とともに語られている。
さらにはこれまでなかった各キャラのイラストも一斉大公開！
まあ、ちょっとサービスしすぎかなぁと思わないでもないけどね。ある意味、彼らはビジュアル化されないほうが、想像が働いてよかったかもとも思う（コロンボの“ウチのカミサン”状態ｗ
ん？それぞれの事件についてがなかった？
うん、今回はそっち方面には特筆すべきものがなかったからね！（ひでぇ
まあ、この連載集は主に本編間のエピソードの補完、サブキャラの動きに重きを置いているので仕方ないんだけども。
いわゆるドラマとミステリ要素は反比例するの法則ｗ
んで、このＳシリーズ──つまり連載集はタイトルから見ても、季節を想起させるモノなんだけど…
やっぱ“秋と冬”もあるのかなぁ…？ｗ
だとしたら、次はいったいいつになるのか…もっとも。
やっと、最新刊に追いついたね！このシリーズは後発だったけど、ようやくここまできたよ。
しかし、この巻の折り返しにあるあらすじで気がついたんだけど…
『やがて訪れるであろう崩壊と、別離を前にした一瞬の平和──刹那』
いや、そうじゃないとかと思っちゃいたが、さすがに…
公式に書かれるとヘコむorz
この先、バカップルども（ぉ）にはいったいどんな艱難辛苦が待ち受けているのだろうか？
俺はこの苦い気持ちのまま、本編６巻を待つ──
・
・
・
あ、忘れるトコだった（汗
すでにどうでもいいかと思うけど、上記のクイズの答え。
解答：どうもない
ドアが閉じたり、閉まったりしている＝最初から閉じたままならべつに不自然でもなんでもない、という罠。
これって実は学生時代に級友から出された問題。しばらくマジで悩んだなぁｗ
もっとも、これは口述トリックなので、字体──文章化しちゃったら、難度が一気に下がるんだよなぁ…
とじたり、しまったりってのを、あたかも開閉しているかのように思い込ますのがコツだからｗ
面白かったら、思い通り！（デスノート風
え？つまんなかったら？
知 っ た こ と か ッ ！（最低
本日のBGM…『Shangri-La』angela（TVA「蒼穹のファフナー」OP）