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PJ: 小林 亮一

【東北関東大震災】農作物の風評被害をなくすために「全数検査」を
2011年03月24日 05:35 JST

【PJニュース 2011年3月24日】福島第一原発の被災による農作物の風評被害が広がっている。福島、茨城、栃木、群馬四県のホウレンソウやカキナの出荷停止を政府が指示して以降、四県産のそれ以外の農作物も敬遠され始めている。

食品衛生法上の暫定基準を超えたものを出荷しないことに異議はない。暫定基準の決め方に若干の疑問はあるが、それは今議論すべきことではない。問題は、何の根拠もなく「何となくイヤ」と買ってもらえない風評被害だ。この風評被害は、完全に人災だ。原因は、政府が出荷停止した以外の農産物の「安全宣言」を行わなかったことに尽きる。そのミスが、「何となくイヤ」という気分を蔓延させ、そのイヤな気分は、今さら安全宣言をしたところで容易には消えないだろう。

しかし、この風評被害は被災地にとって致命傷だ。専業・兼業農家が多い東北地方の復興のスピードを著しく落とすだろう。被災者は、義援金や災害復興支援金のみによって生活を立て直すわけではないのだ。日々の収入が絶たれた状況で、どう再建できるというのだ。

私は、この風評被害をなくすために「全数検査」が必要だと思う。地域ごと、などという非科学的な出荷停止をやめ、きちんと農産物の放射線量を測定し、暫定基準を下回ったものだけを出荷すればいいのではないか。それほど難しい話ではない。ベルトコンベアーにケースごと農産物を載せて流し、線量計で一定値を超えたものだけをはじけばいい。これから何も出荷できなくなる農家の損害と比べたら、検査にかかる費用などたかが知れている。

ホウレンソウは、ハウス栽培も多い。ハウスの中に外気が入るにしても、露地栽培と比べれば圧倒的に汚染された割合は低いだろう。にもかかわらず、地域ごとの産地ラベルが貼ってあるばかりに買ってもらえないのは、全く理不尽だ。全数検査は、近い将来、出荷停止を指示された農産物の「安全宣言」にもなるだろう。

もっと言えば、ホウレンソウは、水洗いすればほとんどの汚染物質は洗い流せるから、そんなに心配しなくていいと専門家はテレビで言っている。それならば、出荷する前に、水で洗ってホウレンソウを出荷することも検討すべきだ。

科学の結晶のような原発によって汚染された食品は、科学的に正しい手法で有害無害を判定すべきだろう。県単位で出荷停止することにどれだけの科学的根拠があるのか。もちろん、全数検査や水洗いを無期限にやる必要など全くない。今、この「風評被害=何となくイヤ」を徹底的に排除してしまわなければ、被災者あるいは四県の農家は、ずっと苦しむ。彼らは手をさしのべるべき被害者だ。毒入り餃子を輸出した中国人ではないのだ。【了】

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