読者の方から、下記のメールをいただきました。
▼読者の方からのメール
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Subject: 【ご見解お願いいたします】おみくじについて
大槻先生御机下
はじめまして、○○○○と申します。
△△出身、□□在住××歳。自動車メーカー設計者です。
出身校は東京理科大学理工学部です。
TVやインターネットでいつも先生のご活躍を拝見しております。
私はオカルトと言ったものには一概に否定はしないです。
例えば、あるオカルト現象に対して、「どうしてそうなったか?」
という質問に対して、きちんと論理的かつ科学的実証できる説明ができたのならば、そのオカルト現象は、むしろ肯定するタイプです。もちろん幼稚で支離滅裂な精神論やら持論は笑止千万です。科学的な根拠があっての現象ならもはやオカルトではなく科学現象だと捉えます。残念ながら世の中のオカルトはほとんどがまともに説明もされてないですよね。
そんな理系な私ですが、実は今年の5月くらいから原因不明の自信喪失、燃え尽きからパニック障害を起こして数ヶ月会社を休養欠勤しました。
将来の不安もあり、時には自殺行動にも走ったりしました。
休職中に、来年度に大学院で社会人受験して、また勉強したいという気持ちが沸いてきました。しかし、私は大学院へ行って学んだことは会社内で役に立つのかという疑問もあり、進学するかそうとう迷っていました。
パニック障害と気持ちの迷いでうつ病と診断されましたが、今は心療内科での治療も功を奏し、復帰して元気に働いています。
表題の「おみくじ」の件ですが、
私の母は台湾人で、熱心な観音様の信者です。
私が休職していた間、仕事やめるべきか?大学院へ行くべきか?他多数・・・
とにかく悩んでいたので、家族はよく「もう××だし、そろそろ落ち着きなさいよ」「心が常に浮いている状態。もっと地に足をつけて落ち着きなさいよ」など言われました。
ある日、母から「観音様に助言を頂きに行こう」と言われて、都内にある台湾式の非常に小さい個人運営の廟(寺)へ行きました。
おみくじを引く手順が複雑です。
- 1~数十番まで番号付けされた細い竹の棒のくじを引きます。
- 引いたくじが正しいかどうかを菩薩様に聞く(三日月状の板があり、片側の面はRがついた面が表、もう反対側は平面が裏面。これが2枚1組となり、胸の辺りでそれを手に2枚組みを保持しながら「このくじは正しい選択でしょうか?」と言って地面に放る。表・裏なら「はい」、表・表or裏・裏は「いいえ」。確率なら「はい」は3分の1と言ったところですね。)
このとき私は「いいえ」
- もう一度竹の棒のくじを引く。
- もういちど三日月のやつを放ったら「はい」になった。この選択が正しいくじ。
- くじの番号と生年の対照表に従って、表に書かれた本くじの番号を取りに行く。(何十番くらい)
- 本くじの数が半端なく多かったです。自分の本くじの中身は中国語の詩で書かれています。私は中国語も使えるので、解読すると以下のようになります。
- (訳)
今あなたの心は揺れている。迷っている。心を落ち着きなさい。自分が決めた道を進めばよい。あなたはいつも神がついている人間である。なにも心配することはない。
以上のおみくじを引いて、今まで数十年神社で引いたやつは「あっそ」くらいですが、今回のおみくじはオカルト否定的な自分でも鳥肌が立ちました。
出だしの3文が回りの人達に言われるようになった言葉そのままだったので・・・
お寺の解説者の方は「あなたは今、就職か転職、進学のようなことで迷っていませんか?」と聞かれました。
「あなたはいつも~」の文は、今までピンチになると、なぜか物事が急速に快方へ向かっていくことがほとんどなくらい運が良かったので、当たってるのかな・・・
たしか50種類以上のおみくじだったので、ある程度パターン化されているとはいえ、自分が取った(導かれた?)ものの内容があまりにも自分の現状そのもの過ぎて、恐怖すら感じました。科学的な見方をする冷静ささえ奪われました。
しかし、このおみくじのお陰で吹っ切ることもできましたし、来年は社会人大学院へ通う目標を立てたことで、うつ病が快方へ向かったのは確かです。
そこで、大槻先生への質問ですが、
- こういったおみくじが実際現状そのもの(偶然?)を反映してしまった件
- おみくじ自体やそのカラクリ(?)
どのようにお考えでしょうか?ご指導を頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
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▼大槻からの回答
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大学院への進学を決断されよかったですね。学問が直接現在の会社の仕事の役に立つか、など考える必要はありません。学問をすればするほど人間に磨きがかかり、そのことが社会生活や会社の仕事のレベルを上げるのです(拙著『大学院のすすめ』東洋経済刊参照)。
さて、おみくじの件。理系のあなたなら、これはからくりであることを理解すべきです。よく当たったように見え『背筋が寒くなった』など誤解、誤認です。
よく考えてください。深刻な顔をして、いい若いものがおみくじを引き、神にでも頼ろうというのは、何か悩みを抱えているからです。とくに若い青年男女は仕事の決断、結婚の決断などに迷っているのです。
だからおみくじは『今あなたの心は揺れている。迷っている。。。。自分の決めた道を進めばよい。。。。』となるわけです。これは結婚に迷っている人、就職に迷っている人、手術を勧められている人、などなどほとんどすべての人にピタリとあてはまりますね。
つまり、おみくじの文章は全部これで足りますし、少し内容、文章を変えて同じようなものならよいのです。
その証拠に、お金の無駄ですが50本も引いてみてください。内容は、ほとんど同じはずです。
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