
この時期になると思い出す。
遠い昔、着ぐるみを着るバイトをしていた。
私は背が低かったので、小さいピンク色のネズミの着ぐるみ。
着ると、暑いし、重いし、蒸れるし、視界狭いし。
友達はクマさんの着ぐるみ。
顔が見えないので、遠慮なく友達と二人で色々なポーズを取ることが出来る。ダンスなんかも披露していた。
でも着ぐるみの中では、息が上がりハァハァ言ってる。
親に手を引かれた、小さい子供が沢山寄ってきて、握手したり、頭を撫でたり。着ぐるみの中身が、とんでもない悪人とは知らず、寄ってきてくれる。
しかし、許せないガキンチョが現れた。
「俺なぁ〜こん中、人間が入ってるって知ってる〜!!」「ポーズとか取ってるけど人間が入ってるんだよ!!」
な〜んて可愛げのないガキ。
そのガキが、いきなり私に蹴りを入れて来たのだ。
私は皆に愛されるネズミだと言うことも忘れて、そのガキが目を逸らした瞬間に思い切り、飛び蹴りで仕返した。
着ぐるみは重さがあるので、そのガキは結構飛ばされていた・・・。
そして「ママ〜!ママー!このネズミが僕を、蹴ったぁ〜」と泣いている。
ママは「ネズミさんが、蹴るわけないじゃない!」
私は全力オーバーアクションでお尻フリフリ&バイバイをした。
ママ「ほらね〜可愛いネズミさんじゃない!」
だとさ。 へへへ。
着ぐるみの中は人間だが、生活の為に、暑いし蒸れる中、歯を食いしばって、必死に働いてるんだ!!
大体、ママなんて呼び方する時点で、私はそのガキが嫌いだ。「お前は外国人か?!」
クマさん着ぐるみの友達と、そんな事を話したのも思い出す。懐かしい・・・。

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