東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で、直接的な被害がなかった九州の観光地でも宿泊やクルーズ船寄港のキャンセルが相次ぎ、特に外国人旅客が激減していることが23日、分かった。九州各県は東アジアからの観光客誘致に力を入れていただけに、大きな打撃となりそうだ。
九州運輸局によると、福岡市と熊本県阿蘇市、大分県別府市の計4ホテルで21日までに、約1500人あった外国人予約客のうち98%が宿泊を取り消した。大半が韓国と台湾からの旅客。運輸局の担当者は「過剰反応だが、原発が落ち着かないと観光キャンペーンもできない」と頭を抱える。
昨年、61隻のクルーズ船が寄港し、約29億円の経済効果があったとされる福岡市の博多港では23日、中国・上海発の大型クルーズ船の寄港がキャンセル。中国当局が原発事故を理由に日本への寄港自粛を求め、既に4月まで計6隻の寄港中止が決定した。1隻当たり4400万円の経済効果を福岡市にもたらすと期待していた同市の担当者は「福岡は安全だという情報を、発信し続けるしかない」と肩を落とす。
韓国からの観光客減も目立つ。大韓航空は22日の大分―ソウルの1往復を欠航させ、28日の長崎―ソウルの1往復も乗客の減少のため欠航が決定。釜山と長崎・対馬を結ぶ大亜高速海運(韓国)の高速船も3月28日から9月末まで運休する。
長崎港(長崎市)でも、地震発生翌日の12日に3千人近くを乗せ入港予定だった世界最大級の英国の豪華客船「クイーン・メリー2」が寄港を中止。その後、5月までの豪華客船の寄港計8件が「地震の影響」を理由に全て取り消された。長崎県の担当者は「海外からみれば日本は小さな島国なので、九州が被災していないことは分かりにくいのだろう」と話す。
同県佐世保市のリゾート施設ハウステンボスも海外宿泊客の大半が取り消し。沢田秀雄社長は「このところ前年同月比約2割増の宿泊実績があったが、今後は4割近くの減少になりそうだ」と、不安を口にした。
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