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研究内容紹介
高熱伝導CFRPを用いた宇宙用高性能ラジエータ
研究背景
現在,多くの人工衛星が宇宙空間で活躍している.衛星に搭載された多種多様な機器には,適切な動作が可能な許容温度範囲が存在する.衛星を許容温度範囲内の温度に保つために多くのデバイスが開発されているが,その1つに衛星から宇宙空間に熱を逃す役割をになうラジエータがある.
近年,衛星の大型化に伴う重量の増加や,小型多機能化に伴う発熱密度の増加が問題となる中,軽量でかつ放熱効率の高いラジエータの開発が必要となってきた.そこで本研究では,このようなラジエータの材料として,高熱伝導性を有するピッチ系炭素繊維を用いたピッチ系CFRPを適用することを提案する.
研究手法
ピッチ系CFRPのラジエータ開発への適用には,その物性値評価が必要となる.この中でまず,今まであまり研究が行われていないピッチ系CFRPの広い温度範囲での熱伝導性評価が必須となる.
熱伝導性評価のパラメータである熱伝導率はλ=ρcp D(λ:熱伝導率,ρ:密度,cp:比熱,D:熱拡散率)で表わされる. 本研究ではこれまで,以下に示す手法で熱伝導率の評価を進めてきた
①ピッチ系CFRP試料のオートクレーブ法による製作
②DSC法による比熱測定
③ACカロリメトリ法による常温での熱拡散率測定
④熱伝導率評価
この結果,比熱の測定,常温での板材の面内方向熱拡散率の測定を行い,熱伝導率を計算して評価した.また,繊維軸方向と繊維軸と直交方向の大きな異方性を確認した. 今後は,厚み方向の熱拡散率測定,広い温度範囲での熱拡散率測定を行っていく予定である.
図1 ピッチ系CFRP
図2 ACカロリメトリ装置