帝人、車体骨格構造の熱可塑性CFRP部品を1分以内でプレス成形する技術を開発

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2011/03/09 19:32
中山 力=日経ものづくり
【図1】熱可塑性CFRPで車体骨格を作製したコンセプトカー。モータやサスペンション、タイヤなどは市販品を取り付けた。
【図1】熱可塑性CFRPで車体骨格を作製したコンセプトカー。モータやサスペンション、タイヤなどは市販品を取り付けた。
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【図2】熱可塑性CFRP製の車体骨格(ホワイトボディ)。20数部品のプレス成形品/射出成形品で構成される。質量は47kgだ。
【図2】熱可塑性CFRP製の車体骨格(ホワイトボディ)。20数部品のプレス成形品/射出成形品で構成される。質量は47kgだ。
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 帝人は2011年3月9日、熱可塑性の炭素繊維強化樹脂(CFRP)を1分以内でプレス成形する技術を開発したと発表した(ニュースリリース)。この技術と熱可塑性CFRPの射出成形技術および、熱可塑性CFRP製部品同士を接合する技術を組み合わせることで、短いタクトタイムが求められる量産車の部品などへの採用を目指す。実際に同社は、軽自動車に相当する大きさで質量が47kgの車体骨格構造(ホワイトボディ)を試作し、それに足回りやパワートレーン(モータ)などを取り付けて実走行を可能にしたコンセプトカーも製作した。

 樹脂成分としてはポリプロピレン(PP)やポリアミド(PA)などさまざまな熱可塑性樹脂を使用可能だ。試作したホワイトボディではPPおよびPAの2種類を利用しており、それぞれをプレス成形および射出成形で作製した。部品点数は20数点。

 プレス成形では、炭素繊維に熱可塑性樹脂を含浸させた中間材料を成形する。中間材料としては、(1)限定方向に対して高い強度が要求される部位に適した一方向性基材、(2)あらゆる方向に対して強度が等しく、形状自由度と材料設計自由度が高い等方性基材の2種類を使い分ける。今回試作したホワイトボディに使った部品は全て、1回のプレス工程で成形したものだという。

 射出成形では中間材として、長繊維を含んだペレット(LFT:Long Thermoplastic pellet)を使う。プレス成形品よりも強度はやや落ちるが、ジョイント部分など複雑形状の部品を作製するのに向く。成形は、既存の射出成形機を適用可能だ。

 CFRP製部品同士の接合では、今回の試作品では一部金属製リベットを使っているが、1分以内のタクトタイムを実現する際には新たに開発した接合技術を使う。その詳細については明らかにしていないが、「接着ではなく、溶着のように接合する技術」(同社)という。CFRPと金属など異なる素材間の接合技術も活用する。

 熱可塑性CFRPはタクトタイムの短縮だけでなくリサイクル性の向上にもつながる。CFRP製部品を短時間で成形できる技術は、自動車だけでなく工作機械やロボットなどの部品への応用も期待できそうだ。

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