がんばれ新井!激務&滝鼻発言で心労

 ベンチから戦況を見つめる表情も曇りがちの新井貴。選手会会長として、苦悩の日々が続く(撮影・大山伸一郎)
 ベンチから戦況を見つめる表情も曇りがちの新井貴。選手会会長として、苦悩の日々が続く(撮影・大山伸一郎)

 「試合形式練習、広島6-1阪神」(23日、マツダ)

 阪神は23日、マツダスタジアムで広島と試合形式の合同練習を行った。セ・リーグの開幕日程問題で野球界が揺れる中、プロ野球選手会会長として東奔西走する新井貴浩内野手(34)は、3打数3三振に終わった。さすがに疲れがピークに達していると思われるが、それでも「大丈夫」と気丈に話した猛虎の4番。がんばれ新井!!がんばれ選手会長!!

  ◇  ◇

 バスへ向かう新井は群がる報道陣を諭すように、気丈に振る舞った。

 「大丈夫ですよ。開幕に間に合わせるということ。大丈夫でしょう。あまり気にしていません。本当に…」。試合後、主砲はノープロブレムを強調したが、本来の姿でないことは誰の目にも明らかだった。

 広島を相手に3打席3三振。フル出場を解禁した4番から最後まで快音が響くことはなかった。

 二回はフルカウントから外の変化球を空振り。四回もフルカウントから内角をつくボール球にのけぞり、バットは空を切った。相手は共に前田健。昨季の沢村賞投手を前に、浮上の兆しすらつかめなかった。

 3打席目は上野の外角変化球を見逃し、3三振。「疲労?う〜ん、相当な心労はあると思う。(開幕日が)はっきりするまでは新井も大変」。試合後、4番の不振に言及した和田打撃コーチからは、同情心が漏れた。

 東日本大震災後、開幕日をめぐり、新井はプロ野球選手会会長としてNPBと議論を重ねてきた。折衝業務とそれに付随する長距離移動が心身に負担を強いるなか、前日は文科省などを訪問。政府に選手会の総意を伝え、蓮舫節電啓発等担当相らから賛同を得た。

 ところが新井の疲労に拍車をかけるように、巨人の滝鼻オーナーがこれに猛反発。「(プロ野球の)日程はおかみ(政府)が決めることじゃない」と、政府との“タッグ”にかみついた。

 新井はこの日「滝鼻発言?それが本当なら、悲しい…」と険しい形相で話した。試合前には阪神ナインに前日の要旨を報告。「(日程が)11月の終わりにずれこんでも、選手会としてやりきるという意思確認をした」と報道陣に説明した。

 震災後、新井は実戦9試合で23打数3安打(打率・130)と低迷。和田コーチは「4番なんでね…。調子を上げてもらいたい」と奮起を期待する。試合後、新井は「それ(選手会)とこれ(プレー)は別。大丈夫、大丈夫。心配ない」と笑顔をつくった。だがプロ野球を背負う男の顔はやつれ、目の下のクマは日ごと色濃くなっている。

(2011年3月23日)

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