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福島原発で作業息子の無事祈る 福井に避難の家族
(2011年3月20日午前10時50分)
東電関連企業で福島第1原発の電源復旧工事にかり出された息子の身を案じる志賀良子さん(左)と夫の五郎さん=19日、福井市の疎開先
東京電力の福島第1原発事故で同社社員、自衛隊などの困難な冷却作業が続く中、福井県内に避難した福島県の家族が作業に従事する息子の安否に不安を募らせている。東電の関連企業に勤め、同原発5、6号機の電源復旧作業に出たまま連絡が取れていない。家族は19日、疎開先でつらい心情を語った。
福島県大熊町の原発から約3キロの距離に自宅がある志賀良子さん(67)は16日から、妹夫婦の住む福井市に疎開している。息子の良郎さん(41)は東電の原発下請け電気工事会社に勤務し、福島第1原発や柏崎刈羽原発(新潟)などを飛び回ってきた。
1号機が水素爆発を起こした当初は自宅待機だったが、状況が変わったのが良子さんが疎開した16日深夜。「仮設電源を5、6号機に引くことになった。明日出発し、昼から仕事に入る」と連絡があった30分後、「今から出かける。長引くかもしれない」とあわてた様子で電話してきた。
原発関連の仕事に従事し、緊急時に招集がかかることは覚悟していたという良子さんだが「被ばくすることが確実な現場。電話もつながらず、状況が全くつかめない」と表情を曇らせる。
夫の五郎さん(67)も「原発の仕事をしていれば行かざるを得ない」と避難したくてもできない息子家族を案じた。連絡がないことで「その後、放射線が非常に強い1、2号機周辺に向かったのでは」(良子さん)と不安は強まるばかりだ。
自分たちの避難生活もいつまで続くか分からない。地震による自宅の損壊は小さかったが、原発事故が長期化し、万一放射能汚染が深刻化すれば「もう家には帰れないかも」と悲観的な考えが頭をよぎっている。