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きょうのコラム「時鐘」 2011年3月24日
選抜高校野球大会の開会式。立派な選手宣誓だった。これで、どれだけの被災者が勇気づけられ、元気をもらった国民がいただろう
選手の多くは1995年の阪神大震災の年に生まれたという。新しい命を育てた16年の歳月の重みを思った。同時に、この未曽有の試練から立ちあがる命を育てていく、あすからの日本に確信を持った 甲子園の宣誓は、被災地で卒業式を迎えた生徒の答辞とも重なった。つらさをこらえて復興の力になると誓った。「この試練に生きた子らが強くならないわけがない。大事に育てます」と言った母親の言葉もうれしかった 「ふるさと」を合唱した卒業式もあった。残酷な自然に対し、あの山、かの川の懐かしさをたたえ、父母への感謝を歌った。震災報道は一人一人に「私たちが今できることは何か」を問いかけ、「子どもは国の宝」と胸に刻む時間を増やした 苦しみや悲しみを乗り越える若くてひたむきな言葉を聞くたびに、未来を信じ、歳月の可能性に心が開かれていく思いがする。あすで能登半島地震から4年。ふるさとに新しい命が育っていることを確信する。 |