福島第一原発の事故は、かなり深刻な状況になってきたようだ。4号機では、使用ずみ核燃料が過熱して火災が起こるという新しい事態が発生した。これに便乗して、人々の恐怖をあおる流言蜚語が乱れ飛んでいる。広瀬隆氏は、ダイヤモンド・オンラインで次のように書いている。
4号機では建屋内の使用済み核燃料のプールが沸騰を始めたという。ここには、原子炉より多くの放射性物質が入っている。作業者が近づけない場所であるから処理はおそらく不能であろうと、15日の午後5時時点で、私は推測するが、この推測が間違ってくれるよう祈っている。福島第一原発の6基のうち、1基がメルトダウンすれば、そこには職員がいられなくなる。すべてを放棄して逃げ出すだろう。あとは連鎖的に事故が起こる。
これを読んで「恐い」と私にコメントしてきた人がいるが、強調部分の推測は誤りである。東電は米軍にヘリコプターからの散水を要請し、火災は鎮火した。
たしかに核廃棄物の放射能は多く、それがコントロールできなくなったことは深刻な事態である。大量の核廃棄物が大気にさらされた可能性があるが、これはチェルノブイリのような「メルトダウン」とは違う。チェルノブイリの場合は核燃料が暴走したまま原子炉が崩壊したので、高温の噴煙が上空まで上がって欧州全域に飛んだが、今回は放射能汚染は基本的には原発の周囲にとどまる。
「連鎖的に事故が起こる」とは何をいおうとしているのかわからないが、1~3号機の連鎖反応は止まっている。4号機の事故は「核の燃えかす」によるものなので、再臨界(核燃料の連鎖反応が再開される)を起こすことは考えられない。崩壊熱による火災は今後も考えられるが、これは連鎖反応とは違う。
首都圏では放射線の値が高くなっているようだが、いま報道されている数マイクロシーベルト/時ぐらいの量では人体に影響はない。チェルノブイリ型の事故が起こった場合は、風向きによっては首都圏まで放射性物質が飛んでくるだろうが、健康に影響を及ぼすリスクは小さい。パニックをあおって首都圏の人々が一挙に移動すると、かえって不測の事態が起きかねない。
たしかに核廃棄物の放射能は多く、それがコントロールできなくなったことは深刻な事態である。大量の核廃棄物が大気にさらされた可能性があるが、これはチェルノブイリのような「メルトダウン」とは違う。チェルノブイリの場合は核燃料が暴走したまま原子炉が崩壊したので、高温の噴煙が上空まで上がって欧州全域に飛んだが、今回は放射能汚染は基本的には原発の周囲にとどまる。
「連鎖的に事故が起こる」とは何をいおうとしているのかわからないが、1~3号機の連鎖反応は止まっている。4号機の事故は「核の燃えかす」によるものなので、再臨界(核燃料の連鎖反応が再開される)を起こすことは考えられない。崩壊熱による火災は今後も考えられるが、これは連鎖反応とは違う。
首都圏では放射線の値が高くなっているようだが、いま報道されている数マイクロシーベルト/時ぐらいの量では人体に影響はない。チェルノブイリ型の事故が起こった場合は、風向きによっては首都圏まで放射性物質が飛んでくるだろうが、健康に影響を及ぼすリスクは小さい。パニックをあおって首都圏の人々が一挙に移動すると、かえって不測の事態が起きかねない。
コメント一覧
家内が心配し、子供も難しいことは理解不能だろうと思い、昨日見つけたこのサイト
http://togetter.com/li/111871
を読ませました。
みんな笑いながら安心しました。
基礎的な科学の知識があれば東京あたりの人が恐れることはないのですが、意外と分かりやすく笑って済ますことの出来るネタが必要なのではないかと思います。
3号機の格納器が損傷した?とかの報道がありましたね。ホウ素入りの海水が沸騰状態にあるんでしょうが。注水作業は現在どうやって行っているのか?わかりませんが、すでに困難な状況である可能性もあるが。しかし普通に考えて既に排熱系統が無いわけですから遅かれ早かれこういうことになるのもなんとなくわかります。これで放射性物質が出てくることは避けられませんが、排熱はおさえられる可能性はあるのかもしれないですね。
作業員が本当に心配ですが、なんとか現場でオペレーションを続けてもらいたい。あとは、政府の対応がほんとに遅すぎますが、遠隔からもっと周辺部への汚染を食い止めるための対応を積極的に行うべきです。政府がなにをやっているのかさっぱりわからないのですが、今後排熱にともなう汚染物質が周辺に徐々に出て行くのは避けられませんので、正確な情報を包み隠さず報道してもらいたいものです。
池田先生が今回の事故で核爆発など、いくつかの絶対に起きない事象を挙げられました。
いまひとつ明らかな事があります。それは
「地震にまつわる軽水炉原発の事故よりも地震と津波そのものの被害の方がはるかに甚大である」と言う事です。
原発は話題性に富み、チェルノブイリへの世界中の人々のフラッシュバックがありますので、マスコミは喜んでかじりつきます。知能と品性の低いみのもんたは口に唾して東電を批判しますが、実際はがれきの下の人が助かる事の方がはるかに意義深い。
既存の原発を今後ドーム化するなどで劇的に対津波性をあげるなどの議論が湧くとおもいます。それはそれで良いのでしょうが、もっともっと大切な事は、沿岸低地の方たちに引っ越してもらうか、鉄筋の高い建物に住んでもらうか、馬鹿高い防波堤を作ることです(原発が今回の津波に耐えなければならないと主張するならば、海岸線に30Mくらいの防波堤を延々と作る必要があります)。
残念ながら他の事象と比較してアンバランスな東電と原発バッシングは今後も延々と続くでしょう。
核融合炉の話は全く進んでなさそうですし、原発をもし辞めるならば、代替の電源はありませんからEco産業が今までよりももっと加熱します。Eco先進国として復興のチャンスに利用できるかもしれません。
災害救助に参加されている方、本当に頑張ってください。東電の原発対処をしている方がたにも頭が下がります。僕も被災地医師派遣に立候補しましたがまだ予定はありません。
格納容器の破損について今頃になって政府が言及しましたね。
関東の人は小説を買って、早めに家に帰るのがいいと思います。こういうときに「関東脱出」とか考えると、かえって危ない。
近隣国で地上核実験をやった時(1960年代の日常レベル)と比べてどちらが汚染が大きいんでしょうかねえ。
チェルノブイリとウルライナの首都:キエフまでの距離 120km。福島第一と東京の距離 220km。
> 4号機の事故は「核の燃えかす」によるものなので、
> 再臨界(核燃料の連鎖反応が再開される)を起こす
> ことは考えられない。
東電の見解とは違いますね。
福島4号機、東電「再臨界の可能性ゼロでない」
ヘリからのホウ酸散布も
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110316/dst11031609210028-n1.htm
ダイヤモンドも、思い切った記事を載せてますね。
広瀬さんの記事は、いささか、オーバーステートメントであるが。
ただ、今の政府の避難指示は適切なのか? と思う。
すくなくとも、新陳代謝の激しい小学生以下は、もっと、一時的にしろ、広範囲(40km圏内)に避難すべきなんではないかと思う。なにしろ、CS-137がそれなりの距離でも、観測されているんだから。
日本人に、物理とか化学とか生物を教えても意味ないということですね。薬剤投与過剰だし、タバコや缶コーヒー、脂ギトギトのラーメン、くず肉をおいしいおいしい言って食べるんです日本人は。
今回の事故の原因について、 次のような議論も必要ではないでしょうか?
1) 福島の原発が建設された際にはどのような根拠で防波堤の形状と高さがきめられたか? 津波の高さが5mでも、 津波が防波堤にぶつかった際に、10mの防波堤を飛び越えることもあります。
2) 近年の地震学・水力学にもとずくシミュレーションによれば、 どのような見直しが必要か? どこかで何メートルの津波があったので、それ以上の防波堤が必要だというほど単純な問題ではありません。 津波の"波”は、 通常の波と全然ちがいます。
かって、 のちほどT社の原子力事業部長になった人が、 「軽水炉というのは本当にアメリカ的なデザインだなあ」というのを聞きました。 そのときは、 それがどういう意味なのかわかりませんでしたが、 あとからその意味ががわかってきました。 まずタービンを回す蒸気が必要なら、圧力釜で水をわかせ。 そうすると、停止後に残留熱がでる。 それならポンプで水をかけて冷やせ。 ポンプを回すには外部から電気がこなくなったときにも電源がいる。 それなら、 ジーゼル発電機を用意しろ。 1台が点検・修理中に使用中のものが故障することもあろう、それなら3台用意しろ。 結果としては、 アメリカ人好みの大規模・複雑なしろものができあがりました。
現在の軽水炉に問題があれば、 もっと安全性のある小型の原子炉はないか? Bill Gates が出資している会社の原子炉がその答えになるかもしれません。 他にも、候補はあります。
4号機について「東電は米軍にヘリコプターからの散水を要請し、火災は鎮火した」とのことですが、自衛隊も含め16日はヘリは飛びませんでした。また、4号機の2度目の火災は午前中に自然鎮火したとの報道があります。よってヘリと鎮火は無関係です。広瀬氏の問題箇所は「火災発生当初、現場は放射線量の値が高いために近寄れず、消火活動が難しい状態だったという」という報道の拡大解釈でしょうか。
たしかに広瀬隆氏は極端な反原発派ですが、少なくともこの部分については池田さんがおっしゃるような「デマ」「流言蜚語」とは言えないのではないでしょうか。
初めまして。
15日深夜、厚生労働省は、現場作業員の被曝許容限度を、突然2.5倍に引き上げました。原発ジプシーといわれる下請け作業員へのいつもの扱いを、今度は自衛隊員が入ってるのにやっちゃいましたね。犠牲を省みずのヒーローにこれはマズイでしたね。大ブーイングでしたよ。
東京電力の記者会見、記者が自衛隊の消火活動について質問。東電は、それを知らない。テレビ画面には、既に飛び立つヘリが映っている。失笑が漏れる。
保安院の記者会見もこの人達は何も知らないんだという事はよく判りました。
多分、津波のせいで、原発が見放されたのではないと思います。
まるで、東電は原発から撤退したかったのかな、と思わせるような見事なパフォーマンスでした。
4号機では、使用済核燃料の貯蔵プールが干上がりました。3号機でも、同様に使用済核燃料の貯蔵プールが、冷却系が作動しない(電力がないので)ので、同様の現象に近づいています。使用済核燃料プールは、冷却さえしていれば、危険性はないということで、これと外界をさえぎるものは、建屋しかありません。(格納容器の中にあるのではない)3号機の天井は、すでに水素爆発で吹っ飛んでいるので、空からの水の注水はしやすいですが、高放射線下での作業なので、本日のようにギブアップとなりました。
4号機は、天井が吹っ飛んでいませんから、空からの注水はできません。使用済燃料も、放置すれば、崩壊熱で鞘は崩れて、燃料棒内の分裂生成物は、火事や風で、煙となって、周囲にばらまかれることになります。もちろん、そういうことが続けば発電所敷地内の放射線量は大幅な上昇で、作業自体が、大変困難になります。
今、必要なのは
1)使用済燃料プール(3号、4号)に注水する
2)電力網と福島第一をつなぐ
3)2)がすぐにできないなら、5号機か6号機を動かして電力を供給する。(余震があるなかでリスクはありますが)
といったことが必要です。
政府の線量計測だけで安全です、という説明は、非常に不誠実だと思う。どういう放射線源が観測されているかが重要であって、そういうのは図りたくないのではないかと思う。
広瀬氏の「連鎖的に事故が起こる」の意味について考えましたが「放射線量の値が高いために(作業員が)近寄れず」「注水も水蒸気爆発のおそれがあるため」行えず、露出した核燃料が過熱し続け深刻な意味での「メルトダウン」が起きるおそれが高い、という意味だと解釈します。広瀬氏の「連鎖的に」とは「次々と」程度の意味でしょう。先生のおっしゃる「強調部分の推測は誤り」が正しいかどうかは明日以降の格納容器冷却が成功するかどうかにかかっていますね。「1~3号機の連鎖反応は止まっている」ことは事実ですが、例え原発周辺に留まって首都圏に届かなかったとしても、依然放射性物質が大気中に大量に放出される危険性が高いことに違いはありません。
武田邦彦氏を名乗る人の怪文書のデマが酷いですね。彼の経歴が Wikipediaに書かれていたのですが、
内閣府原子力委員会
内閣府原子力安全委員会
1990年 日本原子力学会特賞
???
ネットに怪文書を書き散らしている武田邦彦氏とは同姓同名の別人???少なくともネットで見かけた怪文書はめちゃくちゃレベル低かったですよ?おそらく理科好きの高校生が1週間まじめに原子力の勉強すれば、まだましな文が書ける。そんなレベルでしたよ。
関東の民間会社に勤めるものです。
3月15日に、私の同僚へ、仕事で関係している西日本地域の国公立大学の理系の教授から電話があり、「原発が爆発して東日本がダメになる状況が、いつ起きてもおかしくない。パニックになって逃げられなくなる前に、今のうちに関東圏から逃げた方がよい。自分の身内はすでに関東圏から非難させた。周りの科学関連に従事する人も皆関東から離れているようだ。政府はパニックになることを恐れて本当のことは言わない。」という主旨を伝えてきました。
同僚は、「大学の先生がわざわざ電話してくる位だから、本当にやばいんじゃないか。」とかなり心配しました。
同僚から話を聞いた私も、同様に非常に心配しましたが、池田様のブログやtwitterを読み、その先生の話に根拠はないと判断し、不安はなくなりました。池田様の情報発信には大変感謝しております。
原発の事故について詳しい知識を持っていない私ですが、調べれば調べるほど、この大学の先生の話はハタ迷惑なデマだと分かりました。ただ、この先生としては、心からの親切心として連絡をされたようです。改めて、大学の教授でも愚かなことを言う人はいるんだな、と思いました。
このコメント欄でお礼を申し上げるのが適切かどうか分からず恐縮ですが、池田様の情報発信のご尽力に、重ねてお礼を申し上げたく存じます。