今月11日の地震発生時に、福島第一原子力発電所の4号機の建物の中で作業をしていた電気工事業者の男性が、NHKのインタビューに答え、地震の揺れの強さと直後の混乱ぶりを語りました。
インタビューに応じたのは、福島県大熊町の電気工事業者、吉田稔さん(63)で、地震が起きたとき、福島第一原発・4号機の建物の1階で電気工事の作業をしていました。吉田さんは「建物が大きく横に揺れて停電し、真っ暗になった。配電盤などが落ちてくるかもしれないと思い柱にしがみついていた。1階には200人ほどの作業員がいたと思うが、建物の中は地震で舞い上がったほこりで視界が悪くなり、すべての火災報知器が鳴り響いていた」と振り返りました。さらに、「4号機は定期点検中だったので、通常よりかなり大勢の作業員がいた。揺れが収まるとみんなが一斉に外に出ようと非常灯を頼りに出口に向かったが、扉が塞がっていたらどうしようと不安でした。無事、外に出て事務所に向かうと、1号機のそばにある水のタンクの付近で地面が陥没していた」と直後の混乱ぶりを話しました。また、吉田さんは、車で敷地の外に出ようとしたものの、出口は1か所しかなく通路が渋滞していたため1時間もかかり、津波や原発のトラブルに巻き込まれるのではないかと心配だったということです。今回の原発事故について、吉田さんは「国や東京電力は想定外だったというが、あらゆることを想定した基準にしなければいけないと思います。原発は安全だと聞かされてきていたが、多少お金をかけても万が一に備えた対応をする必要があると思います」と話しています。