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エダヒロ×TEPCO 対談 後編

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東京電力株式会社

TEPCO 環境部長 影山 嘉宏氏 × エダヒロ 対談 後編

長年にわたり森と関わり続けて来た東京電力。けれども残念なことに「電力会社と森林の結びつき」はあまり理解されていません。2010年10月のCOP10を前にして、東京電力や自然学校はどこに向かおうとしているのか、影山環境部長と枝廣がアイデアを交換します。

人が育つ東京電力自然学校

枝廣 もともと発電所単位の活動だったものを、最近では東京電力自然学校をつくられて一つに統合するような形でなさっていますよね。

影山 ええ。

枝廣 その思いとか、今後のご予定やご計画とかあればお聞かせください。

影山 先ほど言いましたように、われわれの緑の資産をうまく使うということ、それから自然に何かお返しできるものがあるんだろうかというところから、自然学校というものを立ち上げました。そこで皆さんに自然の大切さとか不思議さをぜひ知っていただきたい、多くの人に体験していただきたい、多くの人に体験していただきたいというのが一番の願いです。

そのために、自然教育のインタープリターを養成して、来てもらった人にうまく伝えるようなスキルを身につける人材を養成しています。今後、説明が上手なインタープリターを増やすためスキルの級づけをするような仕組みや、おもてなしの仕方などを整備していこうと思っています。参加者に対しても、何回も来てもらう人が退屈しないように、内容のレベルアップを試みています。

枝廣 インタープリターにはどういう人がなるんですか? 自分で手を挙げて?

影山 そうですね。一時期はちょっと行ってもらうというのもあったかもしれませんが、今は本人の希望で手を挙げてもらって。結構、やりたいという人、多いです。よほどつまらないんでしょうか、こっちの仕事が。(笑)

枝廣 (笑)そんなことないでしょうけど。

影山 それでCONE(コーン)研修などをやってもらって、その中で自分の適性もわかってくるんでしょうね。こちらも見るし、手を挙げてもらってということだと思います。
CONE:NPO法人自然体験活動推進協議会

枝廣 今、インタープリターは何人ぐらいらっしゃいますか?

影山 うちの社員では10人ぐらいです。それと、一緒にやっているホテルで自然学校の手伝いをしてくれている人たちがいて、そこには、大学の農学部の方とか、地元の方々たちがいますね。

われわれはまだ、先輩格の自然学校やNGOに比べればヨチヨチ歩きの段階です。ただ、企業がやる自然学校、それも社員がやっている本格的な自然学校いうのは、あまりないと思いますので、東京電力独自の自然学校を、ぜひつくっていきたいですね。あと、音楽と自然学校というのをくっつけたようなものちょっとやりたいなと思っています。自然だけではどうかなと思うような人でも、音楽からなら入りやすくなるかもしれないので。

枝廣 そうですね。入り口をいろいろ増やしてあげるのは大事ですね。

エネルギー源としての森林の再評価

影山 今、CO2削減の時代ですから、火力発電の燃料として木材系が使えればいいんですが、今の国産材の価格は海外より高くて、木質バイオマスの利用を始めたところも外材になっているようです。山から下ろしてくるところに非常に手間とお金がかかるそうです。

枝廣 ちょっと違う話になりますが、製紙工場で、王子製紙さんが割り箸の受け入れをしているんですね。使用済みの割り箸を洗って乾かして送ってくれたら、製紙原料に混ぜて使いますと。製紙原料がすごい量なので、どんなに割り箸を混ぜても微々たるものです。なので、割り箸が届いたら入れるという。それで原料の質はそんな変わらないという。

火力発電所も同じような考え方ができないでしょうか?たとえば企業とNGOとかが集まってお金を出して、山から間伐材を下ろして運んでくるところを、たとえばクレジット化するとか。「毎月一定量を使わないといけない」というのは難しいけど、「集まったら持ってくるから、燃料の足しにして」というようなものを受け入れて試行錯誤できると、だんだんに定量的に回せる仕組みがつくれると思います。やっぱり、同じ材を使うんだったら、日本の木を使ってほしいですよね。

影山 そうですね。多分、量が少ないからうまくいくかどうかはわかりませんが、まあ、やってみようじゃないかということですよね。

枝廣 日本の発電所のCO2を減らすために化石燃料をやめて木を使うけど、それが外材ということでは、結局、日本の木材エネルギーの自給率が下がって、逆に外材の輸入のためのエネルギーでまたCO2が出ちゃうことになってしまいます。やっぱり国産材を使えれば、すっきりしますね。

 

影山 そうです。国内で、国内のためになるようなもののほうが、ずっといいですから。ちょっとトライをしてみますか。ハードルは高いかもしれませんが、やらないと何も進まないので。現在のわれわれの取り組みとしては、「森の町内会」があります。間伐材を製紙会社さんに受け入れてもらって、その間伐材と同じ重さの「間伐に寄与する紙」を支援企業に購入してもらう仕組みです。10%ぐらい高い紙を買っていただくことになりますけれども、企業にとって取り組みやすい環境貢献ですし、日本の木が何か商品になればと。

枝廣 森の町内会は、すごいですね。毎年40ヘクタールぐらい間伐が進んでいて、ほかの県にもでき始めている。

影山 そうです。東京の支援企業は100社を超えて、岩手県や青森県で間伐を促進しています。今、関西の企業のほうにも広げようとしています。この4月からは、神奈川の企業にも呼びかけます。

枝廣 そういう「森の町内会・エネルギー版」みたいなものができるといいですね。

COP10に向けての抱負

枝廣 今年はひとつ大きなイベントとして、10月にCOP10がありますよね。生物多様性というのがメインテーマですが、自然学校とか、もともと森を守る、緑の資産を大事にする活動をされてきて、東京電力さんはCOP10について何か取り組みをされるご予定はありますか?

影山 日本でやる生物多様性の大きな会議ですから、その周りでいろんな生物多様性のいい取り組みを紹介しようというイベントが行われるようですので、できるだけ前向きに、積極的に参加していこうと思います。生物多様性の趣旨にできるだけわれわれも賛同して、われわれとしてのお約束というか、「こんなふうにしていきます」というような目標をCOP10までに出してみたいと思います。

枝廣 これは単なるご提案なのですが、COP10に合わせて、たとえば東電さんと私の森の、共同で、東京で何かシンポジウムかフォーラムみたいなのを開催しませんか? 名古屋まで行けない人もたくさんいるので。東京電力さんの本拠地の東京で、こういういろいろな取り組みを紹介したり、目標の発表をされたり、ただのPRだけではなくて、日本の社会として、もしくは都市に住む人たちとして、生物多様性とどう向き合うか、みたいなことをみんなで考えられるような、たとえばイベント、フォーラムとかもできたらいいなというふうに思っています。

影山 せっかくなら東電だけではないほうがいいかもしれませんね。

枝廣 そうかもしれないですね。今、いろいろな企業がそれぞれに動きを始めていていますから。例えば、恵比寿にガーデンプレイスってありますよね。あそこが、ミツバチを飼い始めるという話があるそうです。どうしてかと言うと、「ミツバチが飛べるような安全な街です」というのをアピールするんですって。今、自然志向とか、安全志向が強いので入りたい会社や人が増える。そうすると、オフィスの家賃の低下に歯止めがかけられるんですって。単に自然を守るためだけでなく、ビジネスの戦略としてミツバチを飼うわけです。生物多様性を守るということを一つのきっかけとして、そういう業界は、ビジネスのサバイバルの条件や、競争優位性の一つのポイントとしてやっていますね。東京電力さんもそういう形でアピールするチャンスにはありませんか?

影山 なるほど。われわれの悩みは、例えばCMで東京電力と尾瀬の関係を見ても覚えていてもらえないことなんです。多分、飲料メーカーと違って、われわれの事業と尾瀬が、違うものと見られちゃうので、一緒に記憶をしてもらえないのでしょう。

枝廣 そこのところ、何か橋渡しするような、きれいな分かりやすい論理がつくれるといいですね。緑の資産って、すごくいい言葉だと思うので、東京電力さんとしてどういうスタンスでこういうことを考えてやっていかれるかということをまとめて出していく機会になっていくといいですね。本日はいろいろお話をお聞かせいただいて、どうもありがとうございました。

影山 どうもありがとうございました。

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