2010年11月7日1時46分
室町時代、東北から関東の太平洋岸を巨大津波が襲った可能性があることが、産業技術総合研究所の調査で分かった。東北地方南部沖で起きたマグニチュード(M)8級の地震による津波らしい。この地域は9世紀にも国内最大級の津波の痕跡が確認されており、数百年間隔で巨大地震による津波が繰り返されている可能性がありそうだ。
産総研によると、宮城県石巻市、山元町、茨城県日立市の地層から大津波で運ばれたとみられる砂などが見つかった。最大で海岸線から約1キロ内陸側で確認された。
年代分析の結果は、1200〜1650年とばらついたが、産総研海溝型地震履歴研究チームの宍倉正展チーム長は「室町初期(14世紀)前後が多い。分析精度も考えると同一の津波による痕跡とみられる」と話す。
この海域では平安時代(869年)にもM8を超す大地震が発生、「貞観(じょうがん)津波」と呼ばれる大津波が起き、千人を超す死者が出たと古文書に記録がある。東北地方南部では5世紀や紀元前にも巨大津波があったとされ、450〜800年間隔で繰り返されているとみられる。
宍倉さんは「平安と室町の津波を起こした地震の震源が同じなら、今後も繰り返される現実味を増す。室町時代からの経過時間を考えれば、巨大地震はいつ起きても不思議ではないことになる」と話している。(長野剛)