今回の Firefox 4 の変更点
Firefox 4 は Gecko 2.0 Web プラットフォームを基盤としています。今回のメジャーアップデートでは、JavaScript の実行速度が前バージョンより最大 6 倍になり、ハードウェアアクセラレーションを活用したグラフィックス表示や HTML5 技術など、Web 開発者やアドオン開発者向けの新機能を満載するとともに、ユーザインタフェースを完全に刷新しました。今回のバージョンの変更点や既知の問題など、詳しい情報は以下をご覧ください。
- Firefox 4 は 80 言語 以上にローカライズされています。
- Firefox 3.6 よりも最高 6 倍高速になった新 JavaScript エンジン JägerMonkey [イェガーモンキー] を搭載しました。
- ユーザが行動ターゲティング広告を拒否できるようにする Do Not Track (DNT) ヘッダ に対応しました。
- Firefox Sync が標準装備され、複数のパソコンやスマートフォンで Firefox のブラウザ環境を安全に同期することが可能になりました。
- 特定のレンダリングが ハードウェアアクセラレーション を使って処理されるようになりました。Windows XP では Direct3D 9、Windows Vista と Windows 7 では Direct3D 10、Mac では OpenGL を使用しています (Linux 版の OpenGL 対応は今後行います)。
- Windows 7 では Direct2D ハードウェアアクセラレーション が初期設定で有効になりました。
- WebGL はすべてのプラットフォームで有効になっています。互換性のあるグラフィックスカードと最新のドライバが必要です。
- HD 形式の HTML5 WebM 動画形式にネイティブ対応しました。可能な場合、ハードウェアアクセラレーションを活用します。
- Windows Vista と 7 では Firefox ボタンが新しいデザインになりました。
- Windows、Mac、Linux で、初期設定で タブが最上部に移動されました。
- スマートロケーションバーから、既に開いているタブを探して切り換える ことが可能になりました。
- Windows、Mac、Linux で、読み込み中止と再読み込みがひとつのボタンに統合されました。
- ブックマークツールバーが初期設定でブックマークボタンに置き換えられました。(好みに応じて元に戻すこともできます)
- Windows、Linux、さらに Mac でも、Adobe Flash、Apple QuickTime、Microsoft Silverlight の各プラグインを対象としたクラッシュ防止機能が備わりました。
- タブを右クリックし、コンテキストメニューから「タブをピン留め」を選択することで、「アプリケーションタブ」に変換できます。
- 既定の ホームページデザインが刷新 されました。
- ブックマーク・履歴関連のコードを全面的に見直し、ブックマークの処理と起動時間の高速化を図りました。
- コンパートメント別ガベージコレクション が有効になり、複雑なアニメーションの表示処理が軽減されました。
- アドオンマネージャがさらに洗練されました。
- リガチャ、カーニング、異体字へ対応する OpenType を使用し、Web のタイポグラフィを向上させました。
- Web 開発者は、CSS トランジション を使用して、コンテンツをアニメーションさせることが可能になりました。
- 新しい 留保レイヤー レイアウトシステムによって、応答性やスクロール速度が改良されました。
- HTML5 フォーム API を実装し、Web フォームの開発とバリデーションを容易にします。
- 新たに提案された 音声データ API に対応しました。
- Web サイトが SSL を通じた読み込みを強制できるようにする HSTS セキュリティプロトコル へ対応しました。
- 開いているすべてのタブを一覧表示し、並べ替えやグループ化ができる新機能 タブグループ (Panorama) が追加されました。
- より効率的な JavaScript アニメーションを提供する 実験的な API が実装されました。
- HTML5 動画の buffered プロパティ に対応しました。
- 起動時間の短縮とプロセス分離を目的として、XPCOM コンポーネントの登録方法に変更が行われました。
- 新しいアドオンマネージャと拡張機能管理 API が実装されました。(ユーザインタフェースは最終版までに変更されます)
- 拡張機能のための外部機能インタフェースである JS-ctypes に関して、大幅な API の改良が行われました。
- CSS トランジション に一部対応しました。
- Mac で、プラグインが Core Animation レンダリングモデルを使用できるようになりました。このレンダリングモデルに対応したプラグインは、より高速かつ効率的にアニメーションのレンダリングを行うことができます。
- Web 開発者は、HTML 履歴 API を使用して、ページを再読み込みすることなくロケーションバーを更新できるようになりました。
- 遅延フレーム構築 を実装し、より応答性の高いページのレンダリングを実現しました。
- リンクの履歴参照が非同期に行われるようになり、ページ読み込み中の応答性が向上しました。
開発者の皆さんは、Mozilla Developer Center で すべての新機能と変更点 を確認できます。
システム要件
インストールの前に、お使いのコンピュータが システム要件 を満たしているかどうかご確認ください。
ダウンロード
Mozilla では、Firefox 4 を Windows、Linux、そして Mac OS X 用に、様々な言語で提供しています。Mozilla によって提供されていない、他のシステム・言語向けのビルドについては、このページの最後にある「提供されたビルド」の項目をご覧ください。
インストール
Firefox 4 をインストールすると、すでにインストールされている Firefox は上書きされます。すべてのシステムで、ブックマークや閲覧履歴には一切影響ありませんが、拡張機能やその他のアドオンの一部は更新版が提供されるまで動かない可能性があります。
アンインストール
Firefox 4 は、Windows では「スタートメニュー」の「コントロール パネル」から、Mac では「Firefox」アプリケーションを削除することで、Linux では「firefox」フォルダを削除することで、それぞれ削除できます。
デフォルトでは、Firefox 4 を削除しても、ブックマーク、閲覧履歴、拡張機能やその他のアドオンは削除されません。これらのデータは、お使いの「プロファイルフォルダ」に保存されており、その場所は [ヘルプ] メニューから [トラブルシューティング情報] を選択することで確認できます。「アプリケーション基本情報」という欄の「プロファイルディレクトリ」の横にあるボタンをクリックすると、お使いのシステムのファイルエクスプローラでプロファイルディレクトリを開くことができます。
プロファイルを残すと、Firefox 4 を削除した後にインストールした Firefox は、そのバージョンにかかわらず、このプロファイルフォルダに保存されているブックマーク、履歴、アドオン、その他のデータが引き続き使用されます。
拡張機能とテーマ
Firefox の過去のバージョンにインストールされたアドオンは、その作者による Firefox 4 への対応がまだ行われていない場合があります。アドオンの互換性テストに協力したいときは、Add-on Compatibility Reporter を使ってください。あなたがお気に入りのアドオンの作者に喜ばれることでしょう。
既知の問題
Firefox 4 で確認されている既知の問題を掲載します。これらは今後のバージョンで修正される予定です。
- すべてのシステム
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- Beta 8 以前の Firefox 4 ベータ版にダウングレードすると、ブックマークと履歴に関して多くの非互換性が生じます。Firefox 3.6 へダウングレードすることは可能です。(Bug 620723、Bug 614439)
- Android 端末で Firefox Sync を使っているユーザは、最新の モバイル向け Firefox 4 へ更新する必要があります。
- 一部のユーザから、Gmail メイン画面上のでのスクロールが通常より遅くなるとの報告があります。(Bug 579260)
- ロックされたプロファイルで Firefox を起動しようとするとクラッシュします。(Bug 573369)
- Windows
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- 一部の Adobe Reader X ユーザから、ブラウザ内で PDF 文書を表示したときに、動作が不安定になる現象が報告されています。この問題は一度 Adobe Reader X を削除して再インストールすれば解決できることが分かっています。(Bug 640901)
- ツールバーをカスタマイズし、メニューバーにロケーションバーか検索バーを追加した状態で、メニューバーの表示・非表示を切り換えると Firefox がクラッシュします。(Bug 640652)
- Mac
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- 今回のベータ版は PowerPC CPU を搭載した Macintosh ハードウェアで動作しません。(Bug 587799)
- 64 ビットモードで実行している Mac OS X 上では、Java が特定の MIME タイプに対応していることが認識されません。これは 32 ビットモードで Firefox を実行することで回避できます。(bug 638171)
- Linux/Unix
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- libtotem で QuickTime 動画を再生しているとき、動画コントロールボタンが機能しません。(Bug 625036)
- ビルド要件が変更されたため、ソースコードからコンパイルする場合、gcc とlibstdc++ の新バージョンが必要となります。(Bug 578880)
トラブルシューティング
設計が悪い、あるいは互換性のない拡張機能を使うと、頻繁にクラッシュしたり、ページの読み込みが遅くなるなど、ブラウザに問題を引き起こす可能性があります。ブラウザの一部機能が使えない、ブラウザが起動しない、ウィンドウの表示がおかしい、パフォーマンスが低下した、などの問題に遭遇した場合、拡張機能やテーマが原因となっている可能性があります。そのようなときは、ブラウザをセーフモードで再起動してください。Windows では、スタートメニュー内に作成された「Safe Mode」というショートカットを使うか、
firefox.exe -safe-mode
で起動してください。Linux では./firefox -safe-mode
で起動してください。Mac OS X では、ターミナルを開いて以下のコマンドを実行してください。cd /applications/Firefox.app/Contents/MacOS/
./firefox-bin -safe-modeセーフモードで起動すると、拡張機能はすべて無効化され、デフォルトテーマが使用されます。問題の原因となった拡張機能やテーマを無効化してから、通常通り起動してください。
ユーザプロファイルにインストールした拡張機能 (Web ページからインストールしたものなど) をアンインストールし、コマンドラインオプション -install-global-extension を使ってすべてのユーザプロファイルにインストールしたい場合は、コマンドラインオプションを付けてインストールする前に、一度ブラウザを再起動し、その拡張機能の痕跡が残るプロファイルの拡張機能データソースを一掃する必要があります。そうしないと、拡張機能リスト内のエントリーがおかしくなり、目的の拡張機能をグローバルにインストールできなくなる場合があります。
ブックマーク、ダウンロード、ウィンドウの配置、ツールバー、履歴、その他の設定に関して不可解な問題に遭遇した場合は、バグを報告する前に、新しいプロファイルを作成して問題が再現されるかどうかを確認してください。新しいプロファイルを作成するには、-P コマンドライン引数をつけて Firefox を起動し、[新しいプロファイルの作成] ボタンをクリックしてください。設定ファイル (ブックマーク、保存されているパスワードなど) をひとつひとつ移行し、そのたびに問題が発生するかを確認してください。特定のプロファイルデータのファイルが問題の原因だと分かったら、バグとして報告して、そのファイルを添付してください。
よくある質問
- プロジェクトに協力したいのですが、どのようなことができますか?
Firefox をこれまでになく良いものにするために、フィードバックをできるだけたくさん集められるよう、開発者の皆さんやテストコミュニティからの支援を必要としています。好きな方法で フィードバック をお送りください。
- 拡張機能やテーマ (アドオン) はどこで手に入りますか?
Firefox アドオン のページをご覧ください。
- 誰が Firefox 4 を開発しているのですか?
非常に多くの人が関わっています。Firefox 4 に貢献している人たちの一覧を見るには、[ヘルプ] メニューの [Mozilla Firefox について] を開いて [クレジット] をご覧ください。
- Firefox 4 のソースコードはどこにありますか?
Firefox 4 のソースコードは tarball として ダウンロード できます。最新の開発コードは Mercurial を通じて入手可能です。Firefox 固有のソースは、mozilla-central の browser、toolkit、chrome ディレクトリ以下にあります。詳しくは ビルド方法 に従ってください。
- メールクライアントはどこにあるのですか?
Firefox 4 は、お使いのシステムでどのアプリケーションがデフォルトのメールクライアントになっていても、それと併せて使うことができますが、Firefox ブラウザにぴったりな、Mozilla の次世代メールクライアントとして Mozilla Thunderbird をおすすめします。
提供されたビルド
これらは非公式なビルドで、Mozilla のビルドとは設定が異なる場合があります。また、特定のプラットフォーム向けに最適化、テストされている場合もあります。利用可能な提供ビルドは FTP サイト から入手可能です。
関連資料とリンク
以下のリソースには、Firefox 4 に関して参考になる情報が載っています。
- Firefox サポートページ
- MozillaZine ナレッジベース (英語)
- 開発者情報
- Google セーフブラウジングサービスのプライバシーポリシー (フィッシング詐欺・マルウェア警告機能)