政府は12日、福島第1原発での爆発を受け、官邸を中心に住民避難対応を急ぐとともに、東京電力と連絡を取り合いながら放射性物質漏れの被害を最小限に食い止めるための原発制御に全力を挙げた。菅直人首相は夜の記者会見で、広範な被災地での救援・救難活動を含め「未曽有の国難を乗り越える。命懸けで取り組む」と強調。緊急災害対策本部会合では、機能が回復していない被災自治体への強力な支援を指示した。
首相は会見で福島第1、第2原発について「想定された上限をはるかに超える大きな津波が襲ったため、バックアップ体制の作動に問題が生じた」と説明。その上で「一人の住民も健康被害に陥らないよう全力を挙げる」との決意を示した。
同時に「まずは一人でも多くの皆さんの命を救うこと、続いて避難生活対応、その次に復興への手だてを考えなければならない」と述べた。緊急災害対策本部では、これまでに3千人超を救出したことを明らかにした。
枝野幸男官房長官は記者会見で、原発周辺住民に「政府、東京電力などが総力を挙げて万全の対応に努めている。落ち着いて対応してほしい」と要請。万一の場合に備え、放射性物質が甲状腺に害を与えるのを防ぐヨウ素剤を準備しているとした。
また、大震災の影響で発電量が落ちているとして、全国民に節電を呼び掛けた。14日からの経済活動に対応するため、経済産業省に火力発電などでの電力供給策を13日中にまとめるよう指示したことも明らかにした。
救難活動をめぐっては「二次被害の恐れや交通混雑で活動が遅れる可能性もあるので、ボランティアらの被災地入りは慎重に判断してほしい」とした。
片山善博総務相は記者団に「役場の機能が低下しているところが宮城、岩手両県にある。人材面で後押ししたい」と語った。