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今週の永田町
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2011年3月14日

大地震の政府対応

随所に政治的思惑露呈

 永田町は地震、津波、原発の三重苦に喘いでいる。陣頭指揮を目指して張り切っていた菅首相も息切れ気味だ。ひとり奮闘しているのが枝野官房長官だが、これも次第にくたびれてきた傾向がある。

 それにしても、菅内閣に三つの災難が同時に降りかかってきたとは因果なものだ。ただでもヨタヨタしていたのに、また難題を突きつけられて、いよいよご臨終かと見られていた。

 ところが意外にも、菅内閣が持ち直しつつある。このような国難にぶつかると、国民は強いリーダーシップを持つ首相の出現を望むものだ。菅首相にはその資格がなかった。しかし、現職の首相としてやむにやまれず対処していると、一種の期待感のようなものが生まれてくるから不思議だ。

 本人もそれを意識してパフォーマンスを発揮している。しかし、過ぎたるは及ばずのきらいがある。福島の原発に放射能洩れの疑いがあると聞けば、たちまち自衛隊機に乗って現地視察に行ったのがその一例だ。現地では一刻を争う対策が展開されていたが、首相視察はお荷物だった。政治主導とはそんなものではない。まして人気取りや選挙対策の一環なら迷惑至極だ。

 枝野長官も常にも増して記者会見に応じ、難しい専門用語を使って説明している。しかし、本人が果たして分かっているのかあやしい。楽観的な見方とは裏腹に現実は悪い方に向かっている恐れがある。

 しかし、ことは人命にかかわる重大問題だ。この菅内閣の顔触れでベストを尽くしてもらうしかない。それなのに、あまりに政治的な思惑が随所に感じられる。人気や選挙の次元を超えて日本の運命を左右する課題だ。それなりの接し方を望みたい。「命を懸ける」とは、こんな時に使う言葉だ。

 しかし、永田町的発想としては、菅首相はこの三重苦で随分得をしたと言える。第一に、外国人からの政治献金問題で、危うく一命を落としかねない危機を免れたことだ。もうひとつは、野党の方から政治休戦の話が持ち上がってきたことだ。願ってもないプレゼントだ。菅首相は内心ホッとしている。

 時間の経過とともにこの巨大地震の被害のほどが判明してきた。それによると、いくつかの自治体が壊滅し、万単位の人命が失われそうだ。天災の恐ろしさをつくづく感じないわけにはいかない。

 この際、天災に人災を加えることは厳禁だ。間違っても政治が人災の元などと言われないよう永田町はエリを正さなければならない。

(I)


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