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【静岡】

《経済》 県内企業、経済に打撃 生産減…融資に懸念も

2011年3月18日

 東日本大震災の影響を受け、スズキやヤマハ発動機など県西部での製造業も操業停止を継続するところが増え始めた。金融市場では、為替相場で円高が続いており、生産部門の海外進出を加速させかねない。株価の乱高下は融資活動に影響を与えかねない。大震災による操業停止、円高、株安の“三重苦”は、県西部経済にも大きな打撃となりそうだ。

■円急騰■

 17日の東京外国為替市場では円が急騰した。こうした円高傾向が続けば、大手企業の現地調達比率の拡大を一段と加速させかねない。

 県西部の人材派遣会社の経営者は、「仕事そのものが減ってくることが心配」と不安を募らす。2008年秋のリーマン・ショック後、各社が進める固定費削減や、製造業を対象とした労働者派遣法の規制も不透明で逆風となっている。関係者は「今でさえ仕事が減っているのに…」と顔を曇らせた。

■操業停止■

 自動車メーカーのほか、東京電力の計画停電の影響から、関東の半導体メーカーは続々と操業停止を決めている。自動車部品以外の県西部メーカーも、大きな影響を受ける可能性がある。

 生産減によって、中小企業を直撃するのは資金面だ。受注や売り上げが縮小する中、従業員の給料など当座の資金は必要になる。

 浜松商工会議所は18日、東日本大震災の影響についての相談窓口を開設する予定だ。設備投資のような“前向き”でない資金需要は、利払いなど、企業の将来に重荷となるのは避けられない。

■株価■

 株価の乱高下は、金融機関の融資活動に影響を与える。現在の日経平均8000円台後半の水準は、許容範囲であるものの、15日には下げ幅が一時1300円超に拡大。大半の企業の決算期が確定する3月末に一段の株安があれば、金融機関の2011年3月期決算は大幅な赤字となる。

 中小企業は、手元資金を厚くしたいという資金需要がある一方、銀行の融資活動が慎重になる可能性もある。県西部の自動車部品メーカーのオーナー社長は、「うちは一切借り入れを増やす気はない。円高など逆境の中、浜松の企業経営者は空洞化に備えて、対応する必要がある」と気を引き締めた。

■原発リスク■

 静岡県西部地域しんきん経済研究所の間淵公彦主席研究員は、大震災の影響の中で、「福島第一原子力発電所の問題が長引いていることが、経済に大きな影響を与える」と指摘。併せて「各国が、原子力発電の拡大路線を見直していることが、遠州地区の自動車産業に今後大きな影響を与える」と懸念する。

 充電器など電力インフラの整備が前提となる電気自動車は、原発の拡大が前提条件となる。「長い視点で見れば、生活の仕方も含めて影響があるのは間違いない」と日常生活にも支障がでそうだ。

 

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