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東日本大震災:発生1週間 避難受け入れ本格化 アリーナ一時、続々 /埼玉

 東日本大震災から18日で1週間。地震被災者や原発事故の避難者の受け入れが県内でも本格化している。「いつになったら家に帰れるのか」「避難できていない友達が心配……」。着の身着のままの姿でふるさとを後にした人たちは、口々に不安を訴えている。

 ◇福島から来た農業の男性、原発「人災だ」

 県は、同市中央区のさいたまスーパーアリーナで16日午後8時から一時避難者の受け入れを始めた。毛布やマスクなどを用意しており5000人まで収容可能で、17日午後4時現在、28組101人を受け入れた。

 福島県いわき市の農業、助川国男さん(70)は、妻茂子さん(68)と娘夫婦、孫2人の家族6人で避難してきた。海から約1キロの自宅は津波の被害は間一髪で免れたが「原発が怖くて」と、16日、親戚が勤める会社のバスに飛び乗った。

 あふれ返った川からのがれきと、海水で覆われた田んぼや畑。「原発のある福島で農業をすることが許されるのか」と、今後の生活の不安が募る。助川さんは「『絶対安全』と言われた原発がこんなことになるなんて……。これは人災だ」と嘆いた。次女の富美枝さん(40)は「ガソリンが手に入らず避難できていない友達もいる」と声を詰まらせた。

 家族7人で避難してきた福島県楢葉町の会社員の女性(25)は、背中で眠る長男(2)を指し「とにかくこの子が心配」。地震翌日から親戚宅などを転々とし、たどり着いたアリーナは食事の提供はない。「スーパーもコンビニも食べるものがほとんど売り切れている。食事面がとても心配」と不安な表情を浮かべた。

 一時避難の受け入れ期限は今月31日だが、県はその後の受け入れ先も検討している。問い合わせは県都市整備政策課(電話048・830・5682、5655)。【町田結子】

 ◇福島・広野町から230人、相互協定締結の三郷市へ

 三郷市は17日、災害時の相互支援協定を締結した福島県広野町の要請を受けて、原発事故で避難してきた同町民を瑞沼市民センターへ受け入れた。前日と合わせて約230人になった。広野町は原発事故現場から20~30キロ圏内にあり、町民は放射能汚染の影響を避けるため、30キロ圏外の同県小野町にいったん避難していた。

 大型・中型バス計6台で現地を出発していた。市側はセンター内の体育館に畳を敷き、農協など各種団体の協力で毛布、アルファ米、お弁当、パン、野菜、みそなどを用意した。

 会社員の夫(59)、長男(30)、次男(27)の3人と一緒に逃れてきた酒井直子さん(56)は緊張と疲労で疲れた表情を見せながらもホッとした様子。酒井さんは「津波が来たが自宅が山側で助かった。しかし原発問題が追い打ちを掛けた。地元では原発で働く人もおり、地震が来ても大丈夫という神話があった。それだけにビックリした。宅配便も来ないので食料もない。三郷に来てほんとに良かった」と話した。広野町議の鈴木正範さん(65)は「余震があって地獄のようだ。避難で生活をしてきたがみんなストレスの極限にある。三郷市の対応に大変感謝しています」と述べた。

 三郷市市民生活部の坂口善行副部長(58)は「落ち着くまでしばらく滞在してもらいます。自炊をお願いすることになりそうです」と話していた。【飯嶋英好】

 ◇300人を受け入れ、緊急雇用事業も--秩父市

 秩父市は17日、東日本大震災と原発事故などで市内に避難してきた被災者ら300人の受け入れを決めた。施設は市営住宅などで、期間は当面1年。職を失った人を対象にシバザクラ対策本部の案内係、学校生活支援140人の雇用もする。問い合わせは市総務課(電話0494・22・2211)。【岡崎博】

 ◇秩父の親族頼り、福島から10人

 秩父市日野田町、秩父織物組合理事長、橋本正行さん(75)方にも福島県富岡町から親族10人が身を寄せた。12日夜、2台の車に分乗して330キロを8時間かけて秩父にたどり着いたという。

 避難してきた会社員、渡辺伸さん(50)は福島第2原発でメンテナンスの仕事中に地震に遭遇した。

 「すさまじい揺れで、クレーンが上から落ちてきた。津波が車などを押し流し、原発の敷地内に流されて来る光景を目の当たりにした」と語る。両親らとともに隣村の避難所に移ったが、食料は用意されていなかったという。「1号原発の事故で危険を感じ、着の身着のまま秩父に来た。どのくらい危険なのかの説明もなく、不安が募った。いつ自宅に帰れるのか」と険しい表情で話した。

 肉牛を家族と飼育していた父喜助さん(76)としげ子さん(75)は「避難場所からすぐにでも帰れると思っていた。牛舎に牛をつないだまま出たのが悔やまれて」と涙していた。【岡崎博】

 ◇熊谷市も200人

 熊谷市も17日、避難してきた福島県民を18日正午から、市立女子高跡地の第2体育館で受け入れると発表した。人数は200人で、毛布は貸与するものの食事は各自が用意する。受け入れ期間は未定という。【清水隆明】

 ◇朝霞市も開設

 朝霞市も17日、東日本大震災の被災者用の緊急避難所(同市幸町3の14の65)を開設した。約100人を受け入れ可能。希望者は市地域づくり支援課(電話048・463・1111内線2251)。

毎日新聞 2011年3月18日 地方版

 
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