菅直人首相は昨年秋、自衛隊観閲式で「百年兵を養うは一朝のためにある」と訓示した。長年の訓練は国家の危機救済のため、という古来の言葉を引いたのである。
東日本大震災で政府は、十万人規模の隊員を現地に派遣し救援・復旧に充てている。原発の上空からヘリコプターで冷却水をまく作業などは、被ばくや墜落の危険もある、まさに命がけの任務だ。だが現在、装備や人材など自衛隊以上の危機対処組織は日本にないだろう。国民の命と平和を守るのが、その本分。歴史的な大震災の中で、真価を国民に示してもらいたい。 (編集局長・武田安弘)