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「原発被害の補償を」農家憤慨 福島で農協組合長会議

 東京電力福島第1原発(福島県双葉町、大熊町)の事故を受け、福島県農協中央会は22日、福島市で緊急組合長・経営管理委員会会長会議を開いた。出席者からは解除の見通しが立たない原乳、露地物野菜の出荷自粛や広がる風評被害に対し、「原発事故は人災だ」「早く補償を」などと怒りの声が次々と上がった。深刻度を増す状況に、会場は悲壮感に包まれた。

 「毎日、原乳や野菜を廃棄している。命を捨てているのと同じ。生産意欲を失っている」「地震は天災だが、原発事故は人災。土壌への被害が心配だ」
 17農協の組合長は、農家約8万戸の思いをぶちまけた。
 県農協中央会は20日、県の要請で県内全域で生産する露地物野菜と原乳の出荷自粛を決めた。県は21日、国が出荷制限を決めたホウレンソウとカキナを除く露地物野菜については自粛要請を撤回したが、中央会は「指示を日替わりで変えれば農家は混乱する」として、22日現在は出荷自粛を継続している。
 管内8町村のほとんどが避難、屋内退避区域に入っているふたば農協(大熊町)は状況が深刻。志賀秀栄組合長は「コメや野菜は種まきの時期が来ている。ことしの作付けができるのか。早く戻って再生に取り組みたい」と憔悴(しょうすい)しきった様子で話した。そうま農協(南相馬市)では、水田約8400ヘクタールのうち約半分がいまも海水に漬かっている。
 懸念された風評被害も現実となった。首都圏の市場では規制対象外のハウス野菜や畜肉が買いたたかれ、値がつかないケースもあることが報告された。昨年収穫された米にまでも、買い控えの傾向が出ているという。
 組合長らは「国は風評被害対策を強力に推進しなければならない」「東電と国は速やかに損害補償をすべきだ。生活を守るために緊急融資制度も必要だ」と悲痛な声を上げた。
 同席した全国農業協同組合中央会の茂木守会長は「国と東電に連日働き掛ける。全中グループの総力を尽くす」と支援を約束した。
 県農協中央会の庄条徳一会長は会議後の取材に対し、「福島県の農家は安心安全な農作物を今後も作り続ける。消費者には冷静な対応をお願いしたい。農家は被災者のためにも、前向きに食料生産に取り組んでほしい」と話した。


2011年03月23日水曜日


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