シンガポール  2011年3月24日(木曜日)
インフレ率、5%台高止まり:2月、ピーク越えたとの見方も[経済]

統計局が23日発表した2月の消費者物価指数(CPI、09年=100)は前年同月比5.0%高の106.2となり、前月に引き続き高い水準で推移した。ただ伸び率は26カ月ぶりの高水準となった前月の5.5%高からわずかに減速している。市場では「CPIの伸びはピークを越えた」との見方も出ている。前月比(季節調節済み)は0.1%低下し、8カ月ぶり下落に転じた。



大和証券キャピタルマーケットシンガポール、ヘッドオブリサーチの取越達哉氏は、NNAに対し「予想の範囲内の数値だった。伸び率は1月がピークで、2月はわずかながら減速に向かい始めたとみていい」と説明した。中近東の政情不安などリスク要因があったものの、おおむね政府の予想通りに推移しているという。

2月のCPIは、項目別では通信を除くすべてが前年同月比プラスを維持した。最も大きな伸びを示したのは運輸の15.2%高。自動車とガソリン価格が上昇していることが背景にある。ただ、車両購入権(COE)価格が2月に下落したことを受け、伸び率は前月の18.4%高からやや低下した。

住宅は電気料金や住宅価格の上昇を受けて5.8%高となり、上昇率は前月の5.3%高から拡大した。食品は前月とほぼ同水準の2.6%高。加工食品、野菜、肉類、魚介類、乳製品、卵、米を含む雑穀類、果物などあらゆる商品が値上がりしている。

東日本大震災が3月以降のCPIに及ぼす影響について、取越氏は「日本でテクノロジー関連企業のサプライチェーンが混乱していることが、3月の数値に多少表れる可能性がある。ただ短期的には全体の伸び率を左右するような大きな影響はない」との見方を述べた。

■市場の見方はまちまち

今後のCPIの推移について、地場のエコノミストからはさまざまな意見が出ている。米系バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BOA)のチュア・ハクビン氏は取越氏と同様に「CPIの伸びはピークを越えた」とみている。

英バークレイ・キャピタルのワイ・ホーリョン氏は、教育や娯楽などサービス関連での物価上昇に着目。「こうした分野では人材市場の逼迫(ひっぱく)からコストが引き続き増大し、今後数カ月で(食糧やエネルギーを除く)コアインフレの上昇につながる。政府の懸念事項にもなるだろう」と指摘した。

UOB銀行のペン・ニーチョウ氏は「中東の政情不安で石油価格はさらに上がり、日本の震災や原発事故は食糧需給にかかわってくる。これらの要因が今後の国内のCPIに影響を与える可能性があるが、規模は軽微にとどまる」と予想した。

取越氏を含め、いずれも「金融管理庁(MAS)は4月の政策会合でシンガポールドル高を容認する政策を維持し、利上げなど金融引き締め策を打ち出す」との見方を示している。

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