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30キロ圏外の一部、内部被曝の可能性 極端な例で試算

2011年3月23日23時34分

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写真:「念のため、福島第一原発からの風が東京方面に吹いているときは屋内にいてほしい」と話す原子力安全委の班目春樹委員長=23日午後9時8分、東京都千代田区、福岡亜純撮影拡大「念のため、福島第一原発からの風が東京方面に吹いているときは屋内にいてほしい」と話す原子力安全委の班目春樹委員長=23日午後9時8分、東京都千代田区、福岡亜純撮影

図:SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)拡大SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)

 原子力安全委員会は23日、福島第一原子力発電所の被災に伴う住民の被曝(ひばく)量や放射性物質が降る範囲を、SPEEDI(スピーディ=緊急時迅速放射能影響予測)システムで試算、結果を初めて公表した。原発から北西と南の方向に放射性ヨウ素が飛散し、最も影響を受けるケースだと、30キロ圏外でも12日間で100ミリシーベルトを上回る甲状腺の内部被曝を起こす可能性がある、との結果が出ていた。

 委員会は、原発の被災後、12日午前6時から24日午前0時までずっと屋外で過ごしたという最も厳しい条件で、各地のモニタリングのデータなどを元にヨウ素の放出量を仮定、ヨウ素の影響をもっとも受ける1歳児の甲状腺の内部被曝量を試算した。

 試算によると、一日中外にいた場合、内部被曝が12日間で100ミリシーベルトに達する可能性がある地域には、原発の北西にある福島県南相馬市や飯舘村、川俣町のほか、南に位置するいわき市などの一部が含まれていた。100ミリシーベルトは、安定ヨウ素剤を飲むかどうかの判断の一つ、という。ただ、屋内にいた場合は、この4分の1から10分の1程度に減るという。

 班目(まだらめ)春樹委員長らは「非常に厳しい条件を想定した。ただちに対策を取る必要はない」と話した。

 SPEEDIは、原発の位置や放出された放射性物質の種類、量や高さ、地形などを元に気象データを踏まえて計算。安全委は16日から試算用に情報を収集し、20日から陸向きの風になったため、試算をしたとしている。

 原発から放出される物質や放出量などの情報を把握することが困難で、予測システムという使い方ではなく、モニタリングから逆算して使う形になったという。班目委員長は「実際にシステムを使うには地表の放射性物質は除き、空中を飛ぶ物質を調べないといけない。推定が困難だった」と話した。

 各地で放射性物質が検出されるようになった後も同委員会は公表してこなかった。一方、米国やフランス、オーストラリアなど海外機関は独自に拡散予測をインターネットで公開。情報の透明性に批判が集まっていた。

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