望 〜都の空から
東京の魅力や四季の彩り、さらに課題も空撮で紹介します
【放送芸能】ラジオに癒やされ 大震災「衝撃映像」より「いつものトーク」2011年3月23日 朝刊 「衝撃映像」なきラジオの優しさに癒やされる人たちが増えている。がれきの山と化した被災地や原子力発電所の事故など悲惨な映像が繰り返し流れ、特番が続いたテレビと対照的に、ラジオは早い段階からレギュラー編成に戻った。聴き慣れた声や音楽が日常感や安心感を与えている。 (宮崎美紀子) 「正確な情報を届けるのが第一ですが、いつもの人間のいつものしゃべりと、心にいい音楽で、少しでも、ふさぐ心を解きほぐしたい。普段から緩い番組ですが、さらに緩くしているかもしれません」 文化放送「くにまるジャパン」の野村邦丸アナウンサーは、こう話す。番組は十四日から、一部コーナーは変更されたものの、いつも通り放送された。一つだけ、いつもと違ったのは、オープニング曲の出だしが「くにまるジャパン〜」から「がんばれジャパン〜」に、曲調もアップテンポから穏やかな特別バージョンに変わったこと。 いつもと同じ放送の大切さを、野村アナは阪神大震災の時に関西のラジオ局から学んだという。「『あまり窮屈な放送をすることはない。もし東京でも地震が起きたら、安心できる放送を』と教えられたので、迷いはなかった」 震災後、普段は番組を聴いていない若い人たちからの反響が増えている。特に、平成生まれの若者たちのたくましさに彼自身も励まされているのだという。 ニッポン放送の深夜番組「オールナイトニッポン」も、十四日から通常通り放送した。「テレビが衝撃映像を流す中で、何が自分たちにできるか考えた。リスナーからは、いつもの声が聴きたいという意見が寄せられていた。現実を突きつけるなら映像の力はすごいかもしれないが、日常や生活に密着することがラジオの役割」と角銅秀人チーフディレクター。 番組は全国放送。被災地の人にも、遠く離れた場所の人にも、それぞれの「気持ち」を伝えてもらった。 こういう時、音楽はバラードや応援ソングをかけがちだが、大宮エリーさんが担当する月曜深夜の放送をきっかけに選曲が変わったという。東北に縁のある人が周りに多い大宮さんが情報を集めたところ、避難所では寒さや恐怖で子どもが寝ていなかった。「不安な夜はラジオを聴きたい」という思いに応えて、「アンパンマンのマーチ」など、みんなで歌える曲を選んだ。「明るく楽しい曲なのに涙が出てきた」という声が寄せられた。 震災後、ファクスやメールが三、四倍に増えたという。 同局の瀬尾伊知郎編成部長は「ラジオには衝撃映像がない。泣いている人がいない。『初めて聴きました』という反響が多く、全局でリスナーが増えているのでは」と話している。 PR情報
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